<社説>国交省統計不正 全容を徹底解明せよ

2021年12月16日 08時01分
 国土交通省が毎月公表する建設業をめぐる統計データを書き換えていた。岸田文雄首相は国会で事実関係を認め「再発防止」を表明した。政策の前提となる統計の不適切な処理で事態は深刻だ。真相の徹底解明を求めたい。
 書き換えが発覚したのは「建設工事受注動態統計調査」だ。建設業者の受注を詳細に把握した調査で、政府は特別に重要な「基幹統計」に指定して国内総生産(GDP)算出にも活用している。
 統計が意図的に改ざんされていたのならGDPの信頼性は揺らぐ。首相はGDPに影響はないとしているが受け入れがたい。過去のGDP数値の再点検が必要だ。
 五十三ある基幹統計はいずれも政策立案の根拠となる極めて重要なデータでもある。その算出過程で不正があったとすれば、間違った根拠に基づく政策が行われたことにもなりかねない。
 処理作業ではデータ自体が書き換えられていた。二〇一八年発覚の厚生労働省による毎月勤労統計不正では、必要な全数調査を怠っていたもののデータに手を加えた事実はなかった。さらに今回は数値の推計作業でも二重計上が発覚しており不正の根は深い。
 勤労統計不正などを機に政府は統計全体を見直したはずだ。だが国交省ではその間も不適切な処理が行われていたことになる。
 国交省は会計検査院の指摘を受けて今年四月から不適切処理をやめた。なぜその時点で問題を公表しなかったのか。問題のある処理は誰かの指示があったのか。なぜ見過ごされたのか。いつ始まり、続けた理由は何か。次々と浮かぶ疑問点について政府は第三者機関を早急に立ち上げて調査し、すみやかに結果を公表すべきだ。
 今回の問題は統計法など法律に抵触する可能性もある。調査では統計処理に直接関わった職員だけでなく、退官した人物も含め関係ある幹部級職員全員から詳しく事情を聴かねばならない。
 国の統計は正確であることが前提だ。疑義があれば国際的な信用は失墜する。徹底的な真相究明のみが信用を守る唯一の方法であることを重ねて強調したい。

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