資産運用 ゲームで学ぶ アプリ開発 株、債券理解に助け

2021年12月16日 10時16分
 「人生百年時代」に向けて資産形成の重要性が高まる中、若者らが投資や人生設計についてゲーム感覚で学べるアプリが注目されている。来年四月から始まる高校の新学習指導要領では、金融教育の充実が図られることになっており、教育現場での活用も広がりそうだ。 (河郷丈史)

人生を疑似体験しながら資産管理を学べるアプリ「ナビナビ資産運用デザインゲーム」=名古屋市で

 昇進して給与アップ、住宅の購入、大手証券会社の倒産で保有する株式に損失が発生…。名古屋市昭和区の中京大で十月、経済学部の二年生十八人がパソコンでアプリを操作し、お金にまつわる人生のさまざまな出来事を疑似体験した。
 この日の特別授業で使われたアプリ「ナビナビ資産運用デザインゲーム」は、IT企業のエイチーム(名古屋市)の子会社、エイチームフィナジー(大阪市)がCSR(企業の社会的責任)活動の一環で同大などと開発した。プレーヤーは会社員やフリーター、スポーツ選手など六つの職業から一つを選び、二十五歳から資産形成をスタート。稼いだお金などを預金や国内外の株式、債券といった投資先に振り分け、五〜十年ごとに配分割合を見直しながら、六十五歳時点で二千万円以上の確保を目指す。
 三十歳や四十歳などの節目の年齢で、結婚や出産、家や車の購入、昇給や休職、災害の発生といった出来事が無作為で起こり、選んだ職業や投資先、保険加入の有無などによって影響の大小が分かれる仕掛けも。ゲーム終了後には資産の推移がリポートにまとめられ、預金のみの場合との違いも確認できる。体験した坂牧勇翔(ゆうと)さん(20)は「株や債券など、それぞれの資産の特徴が何となくつかめた」と振り返った。
 アプリはインターネット上で公開され、自由に利用できる。十一月には埼玉大でもキャリア形成の授業で使われた。同社と共にアプリの開発に携わり、特別授業の講師を務めた金融商品仲介業「きわみアセットマネジメント」(東京)のファイナンシャルプランナー石原玄紀さん(42)は「超低金利の時代は預金だけでお金を増やせず、物価が上昇すれば目減りする恐れもあり、投資は資産防衛の手段になる。ゲームを通じて資産管理や経済的なリスクに関心を持ち、豊かな人生につなげてほしい」と話す。
 二〇二〇年三月に公開されたスマートフォンのアプリ「かぶポン!」は、「株式会社の所有者は誰?」といった経済や金融に関するクイズに答えるゲーム。正解するとポイントがたまり、プレーヤー同士でのバトル機能もある。開発した「Finatext」(同)によれば、高校生や大学生の利用が中心といい、「ゲーム性を持たせることで、楽しみながら学べるようにした」と話す。
 二〇年六月公開の「賢者のポートフォリオ」は、実際の市場データを使った株式投資の模擬体験ができるアプリだ。毎回変わる十二銘柄から五つを選び、リターンに応じてポイントがたまる仕組み。円安や原油高などが企業にもたらす影響を学べる。開発した「あせまねライフ」(横浜市)によると、二一年度は十の大学の講義やゼミで導入。学生へのアンケートでは、九割近くが株式投資に興味が湧いたと答えたという。

◆長い老後に備えを

<金融経済教育に詳しい愛知産業大の奥田真之教授(59)の話> 平均寿命が延び晩婚化や晩産化で結婚や子育て、住宅取得などのライフイベントも先送りされている中、現在の若者が長い老後を充実して過ごすには証券投資なども含めた、長期的な資産形成力を身に付ける必要がある。知識中心の学習に加え、人生設計ゲームや資産運用ゲームなどを体験するのも効果的だ。

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