<論戦ファクトチェック>経産省「事業継続」 実際は9月閉鎖 官民ファンド出資の海外ホール 不振隠し?

2019年11月18日 02時00分
 官民ファンド「海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)」が支援する海外のライブホール事業を巡り、十月に当時の菅原一秀経済産業相が国会で「事業を継続している」と答弁したシンガポールのライブホールが、実際には九月に閉鎖されていたことが分かった。同機構は累積赤字が指摘されており、事業の不振を意図的に隠したと受け取られかねない。経産省は「虚偽答弁ではない」と主張している。 (大野暢子)
 シンガポールのライブホールは、立憲民主党の蓮舫氏が十月十五日の参院予算委員会で取り上げた。「入居するショッピングモールが倒産し、ホールも閉鎖された」と指摘。出演者に占める日本人の比率が7%との情報も示して「どうやってクールジャパンに寄与するのか」とただした。
 菅原氏は「入居する施設は閉鎖に近い状況だが、ライブハウス自体は事業をいま継続しており、稼働率は三割強だ」と説明した。
 施設を運営するゼップホールネットワークや機構によると、ライブホールは二〇一七年六月、ショッピングモール内で開業。モールは業績不振から今年に入って店舗の撤退が相次ぎ、ホールも九月末に閉鎖した。
 経産省クールジャパン政策課は「ホールは好調だったが、ショッピングモールがこのような状態では存続は難しかった」と本紙にホールの閉鎖を認めた。その上で、菅原氏の答弁について「ゼップはアジアで新拠点の準備をしており、ホール事業は続けているという趣旨だ」と解説した。
 「三割強」の稼働率は、このホールだけでなく「アジアの事業全体を指した数字だ」と説明。現在までに海外で開設したホールはこの一つだけなので、アジア全体の稼働率は「シンガポールの年間稼働率と一致している」と釈明した。
 機構は一七年、ゼップに対し、アジアでのホール開設・運営資金として最大五十億円の出資を決定。ゼップは二〇年には台湾、二一年にマレーシアでの開業を予定する。文化発信による訪日外国人の増加や音楽産業の海外市場開拓につなげる狙いがある。
<官民ファンド> 政府と民間が資金を出し、成長が見込める企業に投資する組織。政府が株式運用で得た利益をもとに運営している。2018年度末現在、投資事業をしている13カ所の累積損益は計5800億円の黒字。このうち安倍政権が新設した10カ所では計323億円の赤字。中でもクールジャパン機構は179億円、農林漁業成長産業化支援機構は92億円の赤字となっている。

関連キーワード

PR情報

論戦ファクトチェックの新着

記事一覧