「原爆の図」初の本格的な修復で愛知へ搬出 「未来に残したい」残り13点分費用の寄付募る 丸木美術館

2021年12月16日 20時39分

「原爆の図」の第1部「幽霊」の搬出作業をする美術館職員=16日、埼玉県東松山市の原爆の図丸木美術館で

 被爆直後の広島の惨状を描いた連作絵画「原爆の図」を修復するため、1950年制作の第1部「幽霊」の搬出作業が16日、作品を所蔵する「原爆の図丸木美術館」(埼玉県東松山市)であった。愛知県立芸術大の文化財保存修復研究所(同県長久手市)で作業が進められ、2023年に同館に戻る予定。
 「原爆の図」は丸木位里いりとし夫妻が1950~82年に制作。全15作のうち14点を同館が常設展示している。「幽霊」は原爆投下直後に位里の故郷・広島で夫妻が見聞きした光景を描いた作品。焼けただれた皮膚を腕から垂れ下げた人々の姿が浮かび上がる。
 同館によると、近年は作品の経年劣化や虫害による傷みなどが生じていた。80年代に屛風びょうぶに仕立てて以来、本格的な修復は初めて。この日の搬出作業では職員3人が4曲1双(縦1.8メートル、横7.2メートル)の作品を折り畳み、屛風の間に和紙を挟んで梱包こんぽうした。
 修復費の約400万円は寄付で賄う。残る13点は費用のめどが立たず、老朽化した美術館の建て替え費とともに寄付を募っている。同館の岡村幸宣学芸員は「絵の中に丸木夫妻や被爆した人の思いが注がれており、未来に残していきたい」と話した。(飯田樹与)

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