倉庫に眠る大量の「アベノマスク」引き取らないの?安倍晋三事務所に聞いてみた

2021年12月17日 11時30分
 使われないまま倉庫に眠る「アベノマスク」を巡り、松野博一官房長官が15日の記者会見で、希望する自治体や個人に配布すると表明した。やはり気になるのは、あのマスクを猛プッシュした安倍晋三さんが手を挙げるかという点だ。調達した当時の首相として、引き取る気概はあるのか。「こちら特報部」が尋ねてみると…。 (古川雅和)

◆「希望自治体や個人に配布」早くも問い合わせが

東京近郊の倉庫に保管されている膨大な量のアベノマスク

 東京近郊の倉庫で、うずたかく積まれたアベノマスク。8000万枚を超え、昨年8月から今年3月にかけての保管費は約6億円にもなる。政府は在庫を少しでも減らすために昨年8月以降、希望枚数に上限をつけず、さらに国が送料を負担する好待遇で介護施設などに随時、無料で配ってきた。「それでも、はけなかった」と無念そうに語ったのは、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部の担当者だった。
 苦肉の策として出てきたのが、希望する自治体や個人にも配布する方針のようだ。先の担当者によれば、防災備蓄用などとして活用されることを想定する。早くも「個人の方などから問い合わせがきている」といい、募集方法や配布のタイミングを検討している。
 配送料は国が負担する。ただ、1枚だけを希望する人が増えれば、送料が増えることに。同省は「希望は一定枚数以上にすることも考えている」。ただし、国が負担するとなれば、原資になるのは当然、税金ということになる。
 一方、自治体が引き受けても、保管料が必要になる。そうなると結局、誰が保管料を負担するのか、どこが肩代わりするか、ということでしかない。

◆地元有権者への「おすそ分け」には法の壁

マスクを着用し、首相官邸に入る安倍首相(当時)=2020年4月撮影

 押し付け合いの様相も見えてきたアベノマスク。それならば、調達に向けて旗を振り、率先して着用した安倍さんが引き受けてもいいのではないか。
 「こちら特報部」は安倍事務所にアベノマスクの引き取りを希望するか、問い合わせた。しかし残念なことに、回答をお願いした16日午後5時までにコメントは寄せられなかった。
 ただ、安倍さんや事務所が国からアベノマスクを引き受けたとしても、扱いに困るかもしれない。地元の有権者に「おすそ分け」しようとすれば、寄付行為を禁じた公職選挙法に抵触しかねないからだ。

◆“価値がある”マスクを無償で得られるなら…

 別の角度から問題を指摘したのが、神戸学院大の上脇博之ひろし教授(憲法)。行き場を失うマスクであっても、「安倍氏はアベノマスクには価値があると思っているはず。それを無償で得られるということになれば、政府による政治家への利益供与、政治家による私物化になってしまう」と皮肉っぽく語る。
 それでも「国民感情からすれば、安倍氏がすべて引き取り、配送料も払ってほしいとなるだろう」というのが上脇さんの考えだ。

◆盟友の選挙区で配るならOK!?

 では、政治家が公選法に抵触せずにアベノマスクを配る方法はないのか。
 安倍政治を厳しく見てきた小野寺義象よしかた弁護士は「自分の選挙区以外、例えば盟友である麻生太郎氏、安倍政権で官房長官だった菅義偉氏の選挙区で安倍事務所が配布するならば、法律に抵触しないのではないか」と説明した。
 いまだに続くアベノマスク問題。上脇さんは、再発の防止や責任の明確化のために、法制度の見直しを提案する。「地方自治体に対して住民監査請求や住民訴訟の手続きがあるように、国にも国民監査請求や国民訴訟のような制度を考えることが必要ではないか」

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