障害年金 不支給相次ぐ 難疾患診断確定まで 生活苦も

2019年11月5日 02時00分
 診断の難しい脳障害や病気の患者が、疾患名が確定するまで国の障害年金を受け取れないケースが近年、各地で相次いでいることが四日、分かった。事故に伴う脳脊髄液減少症や、慢性疲労症候群(CFS)といった疾患は生活に大きな支障が出る一方、診断に数年かかることが多い。年金を受け取れない空白期間が生じることで支給額が数百万円減る場合もあり、患者は生活苦を余儀なくされている。
 患者数は潜在的なケースを含めると、いずれも数十万人とも言われる。障害年金を専門に扱う複数の社会保険労務士によると、以前は最初に医療機関で受診した日を「初診日」として年金が支給されるのが一般的だったが、ここ二、三年の間に診断確定後でないと支給が認められない例が増えたという。
 日本年金機構は「初診日がいつかは個別のケースに応じて総合的に判断している」として、変化の理由を明らかにしていないが、社労士らは「支給を絞る意図があるのではないか」と改善を求めている。
 脳脊髄液減少症は、交通事故などの衝撃で脳や脊髄を覆う硬膜に穴が開き、内部の髄液が漏れることで頭痛やめまいなどが現れる症状。専門医が少なく診断が難しいため、複数の病院を受診し、数年かかってようやく確定診断を得られる患者が多い。
 患者団体に協力している白石美佐子社労士(愛知県)によると、従来は事故などの直後に医療機関にかかった日を初診日として、障害年金がさかのぼって支給されるケースがほとんどだったが、昨年秋以降に申請した十八件中十件は、確定診断を出した病院の受診日などを初診日とされた。
 障害基礎年金一級の場合、支給が一年遅れると約九十七万円が受け取れなくなる。
<障害年金> 病気やけがで一定の障害があれば、現役世代でも受け取れる公的年金。障害の原因となった傷病で初めて医師の診察を受けた「初診日」を起点に支給開始日が決まり、過去5年までさかのぼっての受給が可能。初診日に加入していた制度によって障害基礎年金、障害厚生年金と種類も分かれる。支給額は基礎1級で月約8万1000円、2級で月約6万5000円。初診日や等級は日本年金機構の判定医が原則、単独で決めるため、判断の個人差が指摘されている。受給者は2018年3月現在、約214万人。

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