非正規は減らしても正社員は微増 飲食やレジャー企業で相次ぐ思惑は<新型コロナ>

2021年12月21日 06時00分
 2020年度にコロナ禍が直撃したレジャーや飲食、宿泊などの一部大手企業が、非正規労働者を大幅に減らす一方で、正社員は増やしたことが各社の有価証券報告書で分かった。売り上げ減など当面の苦境を乗り切るため非正規を削減。「コロナ後」の人手不足を見据え、正社員となる人材は確保する企業戦略の実態が浮かび上がる。(山田晃史)

◆ディズニーショー出演者は正社員登用「対象外」

 有価証券報告書では、アルバイトなどの非正規は月ごとの人数や勤務日数に変動があるため、労働時間などを基に割り出した年間の平均人数を記載している。東京ディズニーランドなどを運営するオリエンタルランドの21年3月期の報告書では、前期比53%減の8375人だった。同社広報は「休園や時短営業で労働時間が減り、働く人自体も少なくなった」と説明した。
 一方、正社員は9%増の8782人。20年2月からアトラクションやレストランで接客などを担当する非正規を正社員に登用する制度を始め、正社員の増加につながった。今後の東京ディズニーシー拡張に向けて人材確保を図る。
 ただ、ショーに出演する非正規の女性は「出演者らは登用制度の対象外で、みんな非正規。昨夏ごろ身の振り方や退職金割り増しの説明会があり、その後に仲間が辞めていった」と明かす。「自分たちも制度の対象になれば、安心して働けるのだけど」と漏らした。

◆将来の事業拡大見据え「優秀な正社員確保したい」

 焼き肉店「牛角」などを展開するコロワイドは非正規が19%減。ホテル「エクシブ」などを運営するリゾートトラストも18%減。日本航空も減便などで業務が減少し、派遣社員は29%減った。
 一方で将来の事業拡大を見据え、各社の正社員は微増となった。正社員を2%増やしたリゾートトラストは横浜市に、国内初ブランドのホテルを開業し、知名度アップを狙う。正社員を増やした理由を、同社広報は「優秀な人材を確保しておきたい」と話した。
 全産業の状況を20年度の国の労働力調査でみても、傾向は同じだ。年度平均で、非正規が前年度比4・5%減に対し、正社員は0・9%増となった。
 日本総研の山田久氏は「コロナ禍の雇用への影響は(レジャーや飲食などの)特定産業で色濃く、非正規を減らしつつ正社員は残す動きが特に目立った」と指摘。その上で「オミクロン株が流行し、再び経済活動が制限されれば、非正規へのしわ寄せが拡大する恐れがある」と話す。

有価証券報告書 上場企業などが1年ごとに作成し、財務や営業といった情報の開示を義務付けられた資料。非正規労働者は基本的に年間の平均人数を記載する。季節により人数や勤務時間の変動が大きい場合、労働時間から人数を換算し、フルタイムを示す「1日8時間」を1人として算出する事例が目立つ。正社員は期末時点の実際の人数を記載している企業が多い。


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