岸田首相「聞く力」で低姿勢でもゼロ回答連発 立民は提案重視も追及への迫力欠く

2021年12月21日 06時00分
 21日に閉会する臨時国会は、10月に就任した岸田文雄首相と、11月に発足した立憲民主党の泉健太代表ら新体制が初めて本格論戦を交わす場となった。「聞く力」を掲げる首相は低姿勢で臨んだものの、安全運転に徹して事実上の「ゼロ回答」を連発。泉氏の方針に沿って「政策立案」の重視を打ち出した野党第1党の立民は、政府の政策転換につながる提案で成果を上げた一方、批判や追及という点では迫力を欠く場面もあった。(村上一樹)

◆安全運転も野党提案に「素通り」

 「さまざまな声を受け止め、より良い制度設計を行うことにした結果だ」
 2021年度補正予算案の審議が始まった13日の衆院予算委員会。18歳以下に対する10万円相当の給付で、クーポン支給に加えて全額現金の一括給付を容認した首相は、立民の小川淳也政調会長の質問に野党の主張も参考にしたことを認めた。
 野党の批判に色をなして反論した安倍晋三元首相や、官僚が用意した答弁の棒読みを続け「壊れたテープレコーダー」と言われたこともある菅義偉前首相は、国民の反発を招く言動も珍しくなかった。対する岸田首相は、野党に一定の理解を示す姿勢を見せるなど安全運転を心掛けた。
 実際、首相が10万円の現金一括給付へと方針転換したのは、立民が一括給付を可能とする法案を国会提出した3日後だ。

参院予算委で答弁する岸田首相

 ただ、重要な政治課題で野党の提案を素通りすることも多かった。国会議員に月額100万円が支給される文書通信交通滞在費に関し、立民などが使途公開を義務付ける法改正を求めると「各党が合意を得る努力を重ねる必要がある」と人ごとのような答弁に終始した。
 森友学園問題を巡っても、自殺した赤木俊夫さんの妻雅子さんとの面会を求める野党に対し、訴訟が進行中であることを理由に拒否。再調査に応じない姿勢も堅持した。

◆「批判ばかり」の指摘から代案提示へ

 立民側は、泉氏が「国民、地域に寄り添う。公正な社会を実現し、富の再配分を進める」というカラーを打ち出して論戦入り。自民党との違いを強調するとともに「立民は批判ばかり」との指摘を意識し、代案を示すことを心掛けた。

衆院本会議で代表質問をする立憲民主党の泉代表


 国土交通省による統計データ書き換え問題では、立民側が第三者委員会を設けて経緯を検証するよう提案。首相が検察OBや弁護士による第三者委の設置方針を示し、泉氏は「野党の役割が発揮された」と自己評価した。
 半面、新型コロナ対策の雇用助成金問題では、大岡敏孝環境副大臣の政治団体が受給していたことが判明し、首相に大岡氏の更迭を求める議員もいたが、執拗に取り上げることはなかった。ワクチン供給などを巡り、かみ合わない答弁や言い間違いを繰り返した堀内詔子ワクチン担当相にも「違うページを読んでいるんじゃないか」などとやじを飛ばした程度で、論戦で追い詰めようという気迫は見えなかった。
 記者会見で「迫力不足では」と指摘された泉氏は「大きい声を出さなかったから迫力不足という方がおかしい」と反論。来年1月に召集される通常国会でも提案型の質疑を続ける考えを示したが、党内に批判・追及型の論戦を求める声が広がる可能性もある。

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