バイデン政権ピンチ、大型法案可決の見通し立たず 気候変動対策めぐり与党内からも反対表明

2021年12月21日 19時23分

バイデン米大統領=AP

 【ワシントン=金杉貴雄】バイデン米大統領が巨額の気候変動対策など政策実現の目玉とする総額1兆7500億ドル(約200兆円)規模の大型歳出法案が、成立の危機を迎えている。与党内の調整が難航し上院で可決の見通しが立たず、政権は反対を表明した中道派の与党議員を非難する異例の声明を発表した。来年11月の中間選挙に向け早期成立で成果をアピールしたいが、苦しい立場となっている。
 「彼は誠意をもって交渉すると繰り返し約束した。突然で不可解な逆転は約束違反だ」「気候変動対策に関する発言は間違いだ」
 サキ大統領報道官は19日の声明で、現在上院に送られている大型歳出法案に反対を表明した与党民主党のマンチン上院議員をそう批判した。大統領の報道官が与党上院議員を名指しで攻撃するのは異例で、バイデン氏の「怒り」を代弁したものといえる。
 米上院は定数100で、与野党がちょうど50議席ずつを分け合う。法案成立には与党議員全員の賛成が必要だが、マンチン氏を含む2人から賛成を得られていない。同氏はこの日のテレビ番組で法案への反対を明言したため、政権が急きょ声明を発表した。

民主党のマンチン上院議員=17日、米ワシントンの議会内で(AP)

 法案には5550億ドル(約63兆円)もの気候変動対策が盛り込まれ、二酸化炭素排出量を50〜52%削減するとの政権の2030年目標達成に不可欠とされる。さらに幼児教育の無償化や子育て世代の税優遇、医療支援の拡充など格差是正に向け左派が求める施策が多く入っている。
 マンチン氏は石炭や石油、天然ガスの産地で関連企業と雇用を多く抱える南部ウェストバージニア州選出で、巨額の気候変動対策に難色を示してきた。中道派議員として公的負担の拡大にも批判的で、法案が財政赤字を拡大すると指摘するほか、高騰するインフレをさらに悪化させると懸念を示している。
 大型歳出法案はもともと3.5兆ドル規模だったが、マンチン氏らの賛同を得るため半減させた。同氏らを説得し翻意を促す以外に手だてはないため、サキ氏は20日の記者会見で「大統領とマンチン氏は長年の友人だ。法案はあきらめるにはあまりに重要だ。来年は前進できる」と妥協を示唆した。

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