「捜しましたが、いませんでした」再審請求中の死刑執行…世界では約7割が廃止か停止

2021年12月22日 06時00分
 2年ぶりの死刑執行に、日弁連や人権団体などからは批判や落胆の声が上がった。日本政府はあくまで死刑制度存続の方針だが、世界では約7割の国が死刑を廃止か停止している。国際的な潮流に逆行する日本にさらに厳しい視線が集まるのは必至だ。
 「小野川さんを捜しましたが、いませんでした」。21日午前、東京拘置所で小野川光紀元死刑囚への接見を申し込んだ弁護人の岩井信弁護士に、職員は淡々と告げたという。再審請求中の死刑執行に「裁判を受ける権利の侵害。裁判は『ない』ということだ」と怒りをあらわにした。
 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル日本は「外交では人権を守り抜くとしながら、人権をないがしろにする岸田政権の姿勢の表れ」と批判。アムネスティによると、死刑を実質廃止した国は昨年までに約140に上り、存置する55カ国でも実際に執行しているのは中東、東アジアなど毎年20カ国程度にとどまる。
 米バイデン政権は今年、連邦レベルの死刑執行の停止を発表。州レベルでも、2009年から今年までに計7州が死刑を廃止した。
 国連人権理事会からも再三、死刑の廃止や停止を求める勧告を受ける中、古川法相はこの日の記者会見で、国内世論の支持をふまえ「死刑を廃止することは適当ではない」と明言した。日弁連の土井裕明副会長は「世論を言い訳に居直るべきではない。『死刑もやむを得ない』という質問文に賛否を尋ねる世論調査の手法にも問題がある」と指摘する。
 8歳の次男をひき逃げ事件で亡くした「被害者と司法を考える会」代表の片山徒有さんは「人は反省し、立ち直ることができる。生身の人間の命を国が奪うことはあってはいけない」と主張。「遺族にとっては動機を知ることが永遠にできなくなる。対話の機会をつくらないまま『改善の余地なし』と執行するのはあまりに乱暴だ」と訴えた。(小嶋麻友美、小澤慧一)

 ▽3人の死刑執行 法務省は21日、兵庫県加古川市の7人刺殺事件で死刑が確定した藤城康孝死刑囚(65)=大阪拘置所=と、群馬県のパチンコ店員2人殺害事件の高根沢智明(54)、小野川光紀(44)両死刑囚=いずれも東京拘置所=の刑を同日執行したと発表した。死刑執行は2019年12月以来で、岸田政権で初めて。

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