お仕事ごっこじゃない!リアル求めて キッザニア東京15周年

2021年12月23日 07時04分

キッザニア東京の街並みは、現実社会の約3分の2のサイズ=いずれも江東区で

 子どもが仕事や社会を体験できるテーマパーク「キッザニア東京」(江東区)が開設十五周年を迎えた。価値観を大きく揺るがす東日本大震災や新型コロナ禍が起きた、この間。地方創生やテレワークなど時代に合わせてメニューを工夫してきた。こだわり続けたのは「リアル」だ。
 「地球のみんなが豊かに暮らすため、未来を生きる僕たちが立ち上がります」
 十五日、新たに誕生したパビリオン「キッザニアSDGsセンター」の開設イベント。公募で選ばれた小学二〜五年生の子ども議員らが高らかに宣言した。
 今や耳にしない日がない言葉「SDGs」とは国連の持続可能な開発目標。キッザニアは子どもが課題に気付き、考え、行動を起こすよう背中を押す拠点を目指す。世田谷区の小学三年女児、愛称・ちゃっちゃ議員(8つ)は「給食を残さずに食べるとか、できることから始める」と話した。
 「○○ごっこではなく、リアルを追求してきた」。キッザニア東京を統括する佐藤徹太郎事業部長(56)=写真=は、そう歩みを強調する。仕事体験では子どもらを必ず「さん」付けで呼ぶ。
 パビリオンで仕事を教えるスタッフは、スポンサーと打ち合わせを重ねる。「本物のユニホームを着る分、間違いがあってはいけない。たとえば宅配の仕事は荷物を運ぶだけでなく、送る側の気持ちもしっかり伝えるよう説いている」

【テレワーク】自宅の子どもたちと接続して行ったテレワークの様子=キッザニア東京提供

 「リアル」への意識は随所にのぞく。コロナ禍を踏まえ、今年の大型連休は期間限定でテレワーク体験を提供した。自宅にいる子どもたちとキッザニアのスタッフをビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」で接続。映像編集ソフトを使い、アニメを作る仕事を遠隔で行った。作品は館内で流した。

【伝統工芸の継承】岩手県でのアウトオブキッザニア。南部鉄器職人の仕事を体験=キッザニア東京提供

 人口減少や伝統工芸の継承など地方の抱える課題にも関与してきた。スタッフを地方に派遣。仕事体験プログラムを現地の人と一緒に作る「アウトオブキッザニア」を十年ほど続ける。「地場産業が廃れないよう地元の企業と連携し、自分たちの住んでいる地域の価値を子どもたちに実感してもらう狙いがある」と佐藤さん。東日本大震災に見舞われた岩手県などに派遣を続け、現在も全国から要望が多いという。

【SDGs学ぼう】新パビリオン「SDGsセンター」で世界の状況を学ぶ子ども議員ら

 常設のパビリオンは少しずつ入れ替わり、時代を映す。家電専門店のブースでは、子どもらが家族構成などに応じてプランを提案する「家電コンシェルジュ」になる。高齢化社会を意識し、系列のキッザニア甲子園(兵庫県)ではケアサポートセンターの介護の仕事体験も加わっている。
 社会の仕組みに触れるリアルな体験としては、二〇一二年から、国政選挙のたびに投票箱や政党のポスターの実物を借り、模擬選挙を実施してきた。
 「よりリアルに近付けることで、働くってこういうことかと気づいたり、達成感を感じてもらえたりする。親が考えもしなかった子どもの一面が見えたという声もあった。そうした点に評価を頂き、続けてこられた」。スポンサーや来場者に感謝しながら佐藤さんは十五年を振り返った。
 ◇キッザニア メキシコ発祥の有料の職業・社会体験施設。東京と兵庫にあり、2022年度に福岡にも開設する。このうちキッザニア東京は江東区豊洲に06年10月オープン。6000平方メートルに銀行や新聞社、病院、メーカーなどがスポンサーの約60パビリオンを常設。職業・社会体験は約100種類。期間限定行事も。3〜15歳が対象。キッザニア東京だけで、これまで約1200万人が来場した。
 文・井上靖史/写真・安江実、井上靖史
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