「譲渡価格は適正」 選手村用地巡る訴訟で東京地裁判決 跡地マンションは「まるもうけ案件」

2021年12月23日 20時57分
 東京五輪・パラリンピックの選手村用地を巡り、東京都が開発業者に土地を不当に安く売却したとして、小池百合子知事や前知事の舛添要一氏らに適正価格との差額約1209億円を請求するよう都に求めた住民訴訟の判決で、東京地裁(清水知恵子裁判長、岡田幸人裁判長代読)は23日「譲渡価格の適正を欠くものとはいえない」として住民側の請求を退けた。
 判決は、譲渡を受けた不動産会社は土地を一時的に選手村として使用する負担を負っており、通常の土地取引の価格と比較するべきではないと指摘。都が売却額を決めるにあたり委託業者が行った土地の価格調査は、「価格を的確に示している」とした。
 判決によると、都は2016年、中央区晴海5の都有地約13・4ヘクタールを、不動産会社11社に計約129億円で売却する契約を結んだ。
 訴訟で住民側は、周辺の路線価などから算出した適正価格は約1339億円で、都民の財産を不当に安く処分したことが違法だと訴えていた。
◆跡地マンション売り切り困難か 引き渡し遅延で訴訟も 

東京五輪の旧選手村で再整備が進む超大型マンション=東京都中央区で

 都から土地を購入した不動産会社などが、旧選手村を再整備する超大型マンション「晴海フラッグ」は、2019年7月に分譲を開始。分譲予定は計4145戸で、今年11月までに約1500戸を供給した。小中学校や商業施設も新設され、約1万2000人が暮らす街となる見通しで、開発業者の1社である三井不動産は「申し込みが殺到している」と売れ行きの好調さをアピールする。
 同社によると、11月の販売分は1戸約5000万円からで、契約の抽選倍率は平均8・7倍に上った。「海に囲まれた地域で、ゆとりある間取りが人気」と担当者。価格については「他の中央区のマンションに比べれば低いが、一概に割安だという評価はしていない」と述べるにとどめた。
 開発業者が都から「破格」の約129億円で土地の譲渡を受けたことについて、不動産ジャーナリストの榊淳司さんは「土地の価格が3、4倍だったとしても業者は利益を出せる。全戸売れれば相当おいしい『まるもうけ案件』だ」と指摘。一方で、最寄りの都営大江戸線勝どき駅まで徒歩約20分とアクセスに弱点があることなどから「投資には適さず、売り切るには困難が伴うと思う」と懸念を語る。
 五輪の延期も影を落とす。住戸引き渡しの時期が約1年遅れることを巡り、購入者約30人が開発業者を相手に、契約通りの23年3月の引き渡しを求めて24日、東京地裁に提訴する予定だ。(小沢慧一)

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