防衛費8年連続で過去最大、膨張止まらず 一般会計107兆円の22年度予算案を閣議決定

2021年12月24日 11時07分
岸田首相

岸田首相

 政府は24日、一般会計の総額を107兆5964億円とする2022年度予算案を閣議決定した。前年度当初予算から1兆円近く増え、10年連続で過去最大を更新した。年金や医療、介護などの社会保障費が36兆円を突破。防衛費は5兆3687億円となり、安倍・菅政権から継続する形で8年連続の過去最大を更新した。(坂田奈央)
 政府は年明けの通常国会に予算案を提出し、年度末までの成立を目指す。
 政策に使う一般歳出は67兆3746億円。このうち、高齢化に伴って社会保障費が半分以上を占め、前年度当初より4393億円増の36兆2735億円と過去最高をまた更新した。
 防衛費は542億円増加した。中国の軍備増強を背景に、次期戦闘機など長期間を要する研究開発費も手厚く確保した。日本の防衛費は国内総生産(GDP)比1%が目安とされてきたが、上回る可能性がある。20日に成立した21年度補正予算でも過去最大の7738億円を計上し膨らむ一方だ。
 新型コロナウイルス対策予備費は、前年度当初と同様に5兆円を計上する。政府が国会の承認を得ずに使い道を決められる予備費の存在も、歳出増の主因の一つになっている。
 岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の実現に向けた成長・分配政策に関連する事業では、安倍・菅政権時代から継続したものが目立ち、目新しさはない。
 一方、歳入面では、財源となる税収は7兆7870億円増の65兆2350億円と過去最高を更新する見通し。企業の業績が好調に推移していることなどを踏まえ、法人税、所得税、消費税のいずれも増える見通し。このため国債(借金)の新規発行額は36兆9260億円と2年ぶりに減る。

◆来夏の参院選控え「ばらまき」の危惧も

 <解説>岸田政権による初の当初予算案は、20日に成立したばかりの2021年度補正予算と一体で編成された。これにより金額がかさむ事業を補正に押し込んで当初予算を小さくし、財政規律を保っているように見せる手法が当たり前になっている。予算規模が適切かどうかはいまや、当初予算だけでは判断できない。
 特にコロナ禍以後は、巨額の補正予算が常態化している。20年度は3度の補正を経て、当初予算の102兆円が175兆円へ、21年度は106兆円から142兆円へ膨張した。衆院選もあり、与野党問わず政府の支出を増やそうとしたためだ。
 22年度は過去最大の107兆円となったにもかかわらず「補正に比べればきれいに仕上がった」(経済官庁幹部)と評価する声すらあり、年間の予算総額はさらに膨らむ可能性がある。
 もちろん、危機対応などで必要な事業の予算化をためらってはならないが、政治的PRばかりが疑われ妥当性に疑問符が付く事業も目立つ。先の補正などに盛り込まれた18歳以下への10万円給付は、世帯収入が1800万円近くの人たちも支給対象になりうるなど困窮対策という政策の目的はゆらぎ、「ばらまき政策」と言われても仕方ない。
 10月の衆院選開票前には、財務省の矢野康治事務次官が与野党の政策論争を「ばらまき合戦」と批判したが、ブレーキどころか逆に与党では積極財政の論調が高まっている。来夏の参院選を控え、当初予算案をまとめたばかりの政府内に早くも、選挙目当ての大型補正予算を危惧する声が上がる。(森本智之)

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