<論戦ファクトチェック>米の関税撤廃率「92%」 未決着の車除けば「59%」か

2019年10月9日 02時00分
 安倍晋三首相は8日の衆院代表質問で、日米貿易協定に関し、米国の関税撤廃率は92%(貿易額ベース)になると説明した。92%には、継続協議となり、関税撤廃が先送りされた自動車と自動車部品も算入されている。専門家は「まやかしの数字だ」と指摘し、実態は59%と試算する。 (清水俊介、木谷孝洋)
 関税撤廃率は、日本から米国への全輸出額のうち、関税が撤廃される品目の輸出額の割合。世界貿易機関(WTO)は自由貿易協定(FTA)について、90%以上の関税撤廃率を求めているとされる。
 国民民主党の泉健太氏は代表質問で「WTOルール違反を回避しようと、対米輸出額の三割を占める自動車・部品を関税撤廃の対象にカウントするのは姑息(こそく)だ」と批判。自動車・部品を除いた関税撤廃率を明らかにするよう求めた。
 これに対し、首相は「自動車・部品は単なる交渉の継続ではなく、さらなる交渉による関税撤廃を明記した」と説明。「関税撤廃が前提である以上、関税撤廃率の換算に加えることは問題ない」と語った。
 その上で「自動車・部品を除いた数字を発表することは、関税撤廃が前提となっている今回の交渉結果に反する。今後の交渉にも悪影響を与えかねない」と泉氏の要求を拒んだ。
 NPO法人アジア太平洋資料センターの内田聖子共同代表は「貿易交渉の結果は『即時撤廃』『何年目に何%』といった具体的な時期と数字だ」と指摘。「日米貿易協定は自動車・部品については数字で何も約束していない。『今後の交渉で撤廃』という方向が示されたのみだ。首相の答弁は事実と政府の期待を混同している」と語った。
 内田氏によると、自動車・部品を除いた関税撤廃率は59%になるという。

関連キーワード

PR情報

論戦ファクトチェックの新着

記事一覧