東京メトロ延伸へ出発進行 有楽町線・南北線で2030年代開業目指す 政府が調査費 

2021年12月25日 06時00分

タワーマンションがそびえる豊洲駅前から東西線、半蔵門線方面につながるバスに乗り込む利用者=東京都江東区豊洲で

 東京メトロ有楽町線と南北線の延伸に向けた調査費が、24日に閣議決定された政府の2022年度当初予算案に盛り込まれた。東京都も同様の調査費を予算計上する。2年ほどの調査を経て着工し、30年代の開業を目指す。都内で地下鉄の新区間が開業すれば08年の副都心線(池袋―渋谷)以来となる。(加藤益丈、土門哲雄)

◆有楽町線「豊洲―住吉」、南北線「品川―白金高輪」

 国土交通省によると、有楽町線は豊洲―住吉(5・2キロ)を延伸し、南北線は品川―白金高輪(2・5キロ)に「品川地下鉄」を新設する計画。事業費は19年の試算で有楽町線延伸が1560億円、品川地下鉄は800億円だが、建築資材や人件費の高騰で、膨らむ見込みだ。事業費の4分の3を国や都が支援し、東京メトロの借入金には財政投融資を充てる方針。

 

 22年度は地質調査や環境影響評価(アセスメント)などを行う。具体的な金額は本年度末に決まるが、国と都で計十数億円の見通し。
 有楽町線の延伸では、マンションや商業施設の開発が進む臨海部と、東京スカイツリーなど観光地や下町とのアクセスが向上。交差する東西線やJR京葉線の混雑緩和も期待される。
 南北線延伸により品川駅から六本木など都心部に行きやすくなる。品川駅は東海道新幹線やJR山手線、京急線などが乗り入れるターミナル駅で、建設中のリニア中央新幹線の始発駅となる。

 

 国交省の担当者は「首都東京の魅力や競争力の向上に資するプロジェクトになる」と話す。
  ◇   ◇

◆期待する住民「ぜひつなげて」

 豊洲―住吉を結ぶ有楽町線延伸の調査費が政府の当初予算案に盛り込まれたことで、懸案だった東京都東部の南北方向の鉄道整備が本格的に動き出すことになり、住民らは期待を寄せた。
 「ぜひ、ぜひ地下鉄をつなげてほしい」。有楽町線や都の新交通システム「ゆりかもめ」が乗り入れる豊洲駅前で、バスを待っていた万中万佐子まんなかまさこさん(78)は喜んだ。
 墨田区出身で、約20年前に南へ6キロほどの江東区東雲しののめに引っ越した。現在も昔なじみの友人に会いに行くが、ネックは鉄道の便の悪さ。東京メトロと都営地下鉄を乗り継いだり、バスに乗り換えたり。江東区のパンフレットによれば、豊洲―住吉の所要時間は現在、鉄道なら21分、バスなら30分。ところが有楽町線が延伸されれば、たった9分になる。
 周辺の鉄道の朝のラッシュ時の混雑緩和も見込まれる。東京メトロ東西線の木場―門前仲町は混雑率が19ポイント、JR京葉線の葛西臨海公園―新木場は11ポイント改善し、いずれも170%台になるという。
 受診のため門前仲町駅を訪れた江東区の男性(74)は「豊洲方面に出掛けることはあまりないが、周辺の電車がすくのはいい」と話した。

◆「駅ができて、お客さんが増えたらいい」

 また、豊洲―東陽町、東陽町―住吉のそれぞれ中間付近に駅が設けられる見通しもある。東陽町―住吉のほぼ中間にある江東区千田地区の「扇南せんなん商店会」で和菓子店を営む女性(78)は「駅ができ、お客さんが増えたらいい」と期待した。
 江東区は延伸に向けた積極姿勢を示そうと、10年度から建設基金の積み立てを始め、累計の積立額は90億円にのぼる。機運を高めようと本年度も11月~今月24日まで、区役所ロビーなど3カ所で延伸のパネル展を開くなどし、事業化を訴えている。(井上靖史)

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