<社説>来年度予算案 査定形骸化してないか

2021年12月25日 06時58分
 政府が二〇二二年度予算案を閣議決定した。一般会計の総額は百七兆円を超え十年連続で過去最大となった。コロナ禍対策に予算がかかるとはいえ、査定が形骸化しているのではないか。
 予算案が百兆円を超えるのは四年連続だ。膨張した理由について国は社会保障費の伸びが全体を押し上げたと説明する。
 社会保障費の増加は高齢化の進展という避けられない事態が要因だ。想定内の増加であり財務省=写真=は査定の強化により予算全体でメリハリを付けるべきだった。だが出来上がった予算案は、財政圧力に屈した単なる膨張型と評価せざるを得ない。
 コロナ禍以降の予算については、本予算と補正予算を併せて評価する必要がある。二〇年度は三回の補正を含めて計約百七十五兆円、二一年度も二十日に成立した補正を入れて計約百四十二兆円と規模が一段と膨張した。二二年度予算も参院選を控える中で補正が組まれた場合、当然膨らむ。
 補正予算は国会での審議時間が短くチェックが緩い。補正と本予算を巧みに使い分けながら各省庁が省益拡大を図っているのなら見過ごすわけにはいかない。
 会計検査院によれば一九、二〇年度分のコロナ対策費は約六十五兆円で約二十三兆円が余った。これは真に助けを求めている人々に支援が十分に回らなかっただけでなく、編成過程での査定が甘かったことを意味する。
 国の財政は苦しい。歳入における国債の依存度は34%超と高い。借金の元利払いに充てる国債費だけで二十四兆円以上もかかる。企業でいえば巨額負債に喘(あえ)いでいる状態だが政府や与党内で財政規律を真剣に議論する動きは鈍い。
 補正に盛り込まれた十八歳以下の十万円給付をめぐっては経費がより増えるクーポンへの批判が相次ぎ政府は修正を余儀なくされた。国民が「査定」を行った形であり、政府は猛省すべきだ。
 予算案は年明けの通常国会に提出され審議に入る。財源に限りがあることを肝に銘じ、無駄を省きつつ暮らしに寄り添った内容の濃い予算の成立を期待したい。 

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