同じような介護の仕事なのに…働く施設の違いで賃上げ対象外に 看護補助者の処遇改善を求める声

2021年12月26日 06時00分
 政府が進める看護や介護、保育の賃上げを巡り、介護の仕事をしていても働く施設の違いで処遇改善の対象外となる問題が指摘されている。介護事業所に勤務する「介護職」は来年2月から給与が3%(月額平均9000円)引き上げられる一方、医療機関で同じような仕事に携わる「看護補助者」への財源は手当てされなかった。病院関係者からは、看護補助者の処遇改善を求める声が上がっている。(柚木まり)
 介護などの分野の賃上げは、岸田文雄首相が9月の自民党総裁選で分配政策の目玉の一つに掲げた。衆院選後の11月にまとめた経済対策に明記され、先に成立した2021年度補正予算や24日に閣議決定した22年度予算案で賃上げの財源が盛り込まれた。
 介護職の賃上げは介護福祉士などの資格の有無にかかわらず、介護事業所で働く138万人を対象とした。一方、医療機関で看護師らの指示を受けて高齢患者の食事や入浴などを担う看護補助者は、介護職と仕事内容は変わらないが対象外となった。看護補助者は16年時点で約18万人。
 同様の仕事をするのに賃上げの対応が異なる理由について、厚生労働省の担当者は「働く施設の違い」と説明する。介護職の賃上げは介護報酬で行われるが、医療機関で働く看護補助者の給与は診療報酬から出るため、対象から漏れる。民間を中心に約2500の病院でつくる「全日本病院協会」によると、介護職の月給水準は看護補助者を6万円ほど上回る。
 新型コロナウイルス対応を担う医療機関の職員への支援として、看護師の給与は来年2月から1%(月額平均4000円)、10月から3%(同1万2000円)引き上げられる。医療機関が看護師の人数に応じて配分される賃上げの財源を一部、看護補助者らに振り向けることは可能とされたが、1人当たりの引き上げが小幅になってしまう。
 全日本病院協会会長を務める寿康会病院(東京都江東区)の猪口雄二理事長は「高齢患者が増え、看護補助者なしでは医療提供が困難になる。介護職と同様の処遇改善の仕組みが必要だ」と訴える。

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