古米をおしゃれで機能的な「しゃもじ」に 葛飾区の町工場が環境に負荷をかけない商品づくり

2021年12月26日 06時00分

しゃもじの試作を続ける杉山耕治さん。試作品は一つ一つ、表面の角度などが違うという=東京都葛飾区内で


 東京都葛飾区の町工場が、古米こまいをしゃもじに変えるユニークなものづくりに挑んでいる。古米を混ぜた「バイオマスプラスチック」で、しゃもじを作る。根底にあるのは、環境に負荷をかけないという思いだ。「愛着を持って長く使ってもらえなければ、結局ごみになる」と、機能性とおしゃれを両立したデザインを生み出そうと試作を重ねる。(太田理英子、写真も)
 しゃもじは胚芽を取り除いた精米をかたどり、右上が欠けたデザイン。ご飯がつかないよう、表面に細かな凹凸をつけた。
 従業員17人の金型・部品製造会社「ミヨシ」で、6月から試作が進む。「実際にご飯をよそってみると、課題が次々と見つかった」。机に並ぶ10種類の試作品を見つめながら社長の杉山耕治さん(44)が明かす。
 「すくう面の曲がり具合や長さ次第で、よそいやすさが変わるんです」。すくう面が平らだとおひつの中のご飯をほぐしやすいが、盛りにくい。右上が欠けていると、左利きの人は使いにくいことにも気付き、形の微調整が続く。
 同社は自動車部品などの金型やプラスチック部品の受注生産をしてきた。杉山さんは廃棄物処理プラントでエンジニアとして働いた経験から、「ごみの減量だけでなく、有効活用が必要」と考えてきたという。
 2012年に父親からミヨシの経営を引き継ぐと、環境に負荷をかけないものづくりが目標に。本業と並行し、木材繊維を使ったプラスチックのペーパーナイフなどを試作してきた。
 しゃもじ作りは昨年夏ごろに考え始めた。知人を通じ、新潟県の企業が米由来のバイオマスプラスチックを手掛けていることを知った。古米や米菓メーカーで発生した破砕米などと、ポリプロピレンを混ぜてバイオマスプラスチックは作られる。
 「米由来なら、原料がイメージしやすいようにしゃもじにしたらどうか」。杉山さんと従業員たちは案を練り、同社が長年培ってきた型の設計、成形の技術を生かして開発に取り組んできた。耐久性も検証した上で、商品化を目指す。
 しゃもじ作りの傍ら、今夏、岡山県や都内の企業と共同で、ヒノキ間伐材の繊維とナイロンを混ぜた素材でペンケースを完成させた。ペン2本分の小ぶりなサイズで、通常のプラスチック製品より耐久性が高い。ミヨシのオンラインサイトでの販売を検討中だ。
 「必要とする人に、必要な分の商品を届けることが大事」と、しゃもじもペンケースも大量生産はしない予定だ。杉山さんはこう期待する。「すぐに捨てられないようなデザインで、暮らしに役立つものを作っていきたい。環境に配慮した素材と知ってもらい、環境保全や資源の有効活用を意識した消費行動につながってほしい」

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