「食品ロス」削減へ弾み 推進法あす施行

2019年9月30日 16時00分
 食べ物が無駄に捨てられてしまう「食品ロス」を減らすため、食品ロス削減推進法が十月一日に施行される。国は「国民運動」と位置付けて本年度中に基本方針をまとめ、自治体は削減に向けた推進計画を作る。先進的な活動をしている自治体や団体は「弾みがつく」と歓迎。一方、違反に対する罰則がない点について「海外並みに強制力を持たせるべきだ」という指摘もある。
 長野県松本市は二〇一一年、「30・10(さんまる・いちまる)運動」を提唱した。宴会で乾杯後三十分間と、締める前の十分間は自席につき、食事に専念する。食べ残しを減らす効果がある。
 市内百五十九の飲食店が「推進店」と認定され、市は広報誌で紹介している。市の担当者は「各店から『片付けが楽になった』という評判も耳にする」と話す。同様の取り組みは全国に広がった。
 京都市では、飲食店に対し「食べ物を持ち帰りたい」という客の要望に応えることを条例で定めている。
 企業や家庭などから食べ物の寄付を受け、困窮した世帯や施設に提供する「フードバンク」も活発だ。山梨県のNPO法人「フードバンク山梨」は、県内の母子家庭や児童養護施設など希望する人に月数回、段ボール箱詰めの食品を送っている。
 難点は、活動資金が寄付金頼みでボランティアの協力も欠かせないこと。同法人の米山けい子理事長(66)は、推進法にフードバンク支援が盛り込まれた点を評価。「法律に明記されたことは画期的。手弁当の団体が多く、活動の後押しになるはずだ」と期待する。
 食品ロス問題に詳しいフリージャーナリストの井出留美さんは、法施行を「国民が問題の深刻さを知る機会となった」と評価する一方、「他国に比べれば、はるかに遅れている」と指摘する。
 フランスでは、大型スーパーが売れ残った食品を原則廃棄してはならないと定めた法律が一六年に制定された。違反すれば罰金が科される。フードバンクが盛んな米国では、寄付された食品に問題が生じても、故意や重大な過失がなければ寄付した人に責任を問わない。多くの寄付を促す効果があるという。
 井出さんは、コンビニや大手スーパーなどでの過剰な生産と流通も問題視する。「食品の再利用のリユースだけでなく、過剰生産を減らすリデュースが大前提。企業に法的責任を課すべきだ」と強調する。

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