表現の自由、塩対応 強気の安倍政権 過去には報道に「圧力」も

2019年9月29日 02時00分
 安倍政権が、憲法二一条で保障されている「表現の自由」に冷淡な姿勢を見せている。文化庁が愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(十月十四日まで)への補助金約七千八百万円の不交付を決めたことに反発が出ても、政権側は「文化庁が適切に対応するのは当然」(菅義偉(すがよしひで)官房長官)とあくまで強気だ。
 補助金を交付しない理由について、萩生田光一文部科学相は「(補助金の)申請書類と実態に乖離(かいり)があった」と説明。元慰安婦を象徴した「平和の少女像」などを含む企画展の開催により、あいちトリエンナーレの円滑な運営が脅かされる可能性を文化庁側が事前に把握できず、補助金交付に関して適正な審査ができなかったためだとしている。
 菅氏も、補助金が国民の税金で賄われていることを記者会見で繰り返し指摘。その上で「文化庁で法令等に沿って適切に対応している。展覧会の具体的内容とは関係ない」と、企画展の中身を問題視したためではないと強調する。
 これに対し、主催者側の大村秀章愛知県知事は「表現の自由に対する重大な侵害だ」として、裁判で争う意向を明確にしている。
 表現の自由や言論の自由に対する安倍政権の強気の姿勢は、これまでもたびたび議論になってきた。自民党は二〇一四年の衆院選で、報道の公平性確保を求める文書を在京テレビ各局に出した。昨年の総裁選でも、公平・公正な報道を求める文書を新聞・通信各社に送付。報道機関への「圧力」との懸念が出た。
 萩生田氏は自民党幹事長代行だった今年七月、安倍晋三首相(党総裁)の参院選遊説日程を党として事前に一般向けには公開しなかった理由として、政権を批判する聴衆の存在に言及。「批判する権利はあるのだろうが、選挙妨害と思われるような行動は厳に慎んでほしい」と指摘した。八月には埼玉県知事選で応援演説をしていた柴山昌彦文科相(当時)にやじを飛ばした男性が県警に取り押さえられる事案が発生。柴山氏はやじを「権利として保障されていない」と発言している。 (中根政人)

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