「2050年カーボンニュートラル」実現へ、銀行の役割は 三菱UFJ・三井住友 両FG社長に聞く

2021年12月27日 19時56分
 「2050年に温室効果ガス排出量を実質ゼロにする」とする政府の目標実現に向け、産業のお金の流れを左右する銀行の役割は重要だ。三菱UFJフィナンシャル・グループの亀澤宏規社長と三井住友フィナンシャルグループの太田純社長に、脱炭素の方針や課題を聞いた。(聞き手・皆川剛)

インタビューに答える三菱UFJフィナンシャル・グループの亀澤宏規社長=東京・丸の内で

◆「マクロな視点で段階的な脱酸素を」亀澤社長

 グループの投融資先のうち、電力、石油、ガス部門における30年の温室効果ガスの合計排出量の目標を来春に公表する。石炭火力の新設と拡張にはお金は出さない。ただし、アンモニアと混ぜて燃やすなど温室効果ガスを減らす新技術には支援を検討する。
 少しでも温室効果ガスを出すからとの理由で融資を打ち切っても、今はその資金をヘッジファンドが出してしまう。すると、全体ではかえって脱炭素は進まない。各社が「自社の分がゼロになればいい」という姿勢にとどまるのではなく、マクロな視点で段階的な脱炭素を目指すべきだ。
 事業者が温室効果ガスを減らすには、現状を知らないと始まらない。温室効果ガスの計測ルールは複雑で中小企業への支援が大切だ。従業員数や車の台数、出張の頻度などから排出量を測るツールを、スタートアップ企業と組んで提供する。

金融機関の融資や政府の協力などについて話す三井住友フィナンシャルグループの太田純社長=東京・丸の内で

◆「グループ内環境部門集め新組織立ち上げる」太田純社長

 脱炭素で先行する欧州連合(EU)が議論を主導している。風力発電の適地が少ないなど厳しい条件に置かれる日本が、立場の似た国と共同してルール作りに参画できていないことが問題だ。
 経済産業省、環境省、金融庁の誰が日本政府の立場を取りまとめて主張していくのか。司令塔がいない。炭素税や排出量取引などのカーボンプライシング(炭素への価格付け)の議論が進む中、日本は新しい閣僚ポストを設けて臨むくらいの姿勢が必要だ。
 事業者には今後、温室効果ガスの排出量を算定して情報を公開する責任が課せられていく。準備が整っている企業はまだ少ない。そうした取り組みを支援するツールを提供し、一社一社の取引先とカーボンニュートラル達成に必要な手続きを議論していく。そのために、グループ各社の環境対応部門を全て集め、来年4月に新組織を立ち上げる。

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