<新型コロナ>英国ジョンソン首相の「政治的な賭け」 新規感染者18万人超でも規制強化先送り

2021年12月30日 18時40分
マスクを着けて劇場前に並ぶ人々=28日、英国ロンドンで(AP)

マスクを着けて劇場前に並ぶ人々=28日、英国ロンドンで(AP)

 【ロンドン=加藤美喜】新型コロナウイルスの新変異株オミクロン株の感染が欧州で急拡大し、各国が行動規制の強化を発表する中、英国のジョンソン首相はイングランドでの規制強化に慎重な姿勢を続けている。国民のクリスマス休暇を守り、経済活動を重視する一方で、医療現場の負担は日に日に増加。与党保守党内の規制反対派の動きもにらみ、経済か感染抑止か「首相の政治的な賭け」(BBC放送)が続いている。
 ジョンソン氏は27日、当初「クリスマスまではない」としていた規制強化をさらに年明けまで見送る方針を発表。29日は「誰もが新年を楽しく迎えるべきだ」と述べる一方で、マスクや換気など自主予防の徹底を要請。「集中治療室(ICU)の患者の9割はブースター未接種だ」として、ワクチンが最大の感染抑止策だと強調した。
 29日の英国の新規感染者数は18万3000人を超え、クリスマス前の12万人超から一気に急増。オミクロン株の猛威については、政府に助言を行う「緊急時科学助言グループ(SAGE)」の科学者らが19日、医療現場の負担軽減のため早期の規制強化策の必要性を訴えていた。だが首相は「規制強化を正当化するだけの十分なデータや根拠がない」と述べていた。
 首相は昨年、コロナ規制下で官邸でパーティーを開いた疑惑などで国民の支持が下落。今月中旬には重要な下院補選で敗北し、保守党内での求心力も低下しつつある。
 保守党議員の一部は規制強化に強硬に反対し、イングランド以外の各自治政府がクリスマス前に発表した飲食店の入場制限措置などを「過剰反応だ」と批判。科学者らの想定にも懐疑的な反応を示す。一方、保健当局の調べでは、ロンドンを中心に医療スタッフの感染が増え、病欠による人手不足が深刻化している。
 野党労働党の影の内閣のストリーティング保健相は、規制強化をしない首相の戦略が「単に保守党内の敵の声に屈服したのではないと示すべきだ」として、決定の根拠となったデータを国民に開示するよう要求した。

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