音楽の力を福祉の力に 鎌倉の女声合唱団 25年の節目

2021年12月31日 07時15分

11月のコンサートで歌を披露するぶどうの会の団員ら=逗子市で(同会提供)

 「音楽を通して福祉の力になりたい」と歌い続けてきた鎌倉市の女声合唱団「ぶどうの会」が今年、結成二十五年の節目を迎えた。一年おきに開くコンサートの収益を地元の福祉作業所に寄付し、物販を手伝う。四十代だった団員の平均年齢は七十代にスライドし、自身や家族の病気などにも直面するが、週に一度の練習で気の置けない仲間と音楽に没頭する時間が、それぞれの生きがいになっている。(石原真樹)
 「もっと、腹直筋を使って」。鎌倉市の鎌倉恩寵教会で今月、指揮者の杉山範雄さん(46)の指導の下、団員がボイストレーニングに励んでいた。「イは鼻腔(びくう)とつなげて」「声を背中で支える感じ」。アドバイスを受けるたび、声の響きは豊かになってゆく。

体全体を使って発声練習する団員ら

 ぶどうの会は、稲村ガ崎を中心に音楽とチャリティー活動をしていた団体「コーロ・フェリーチェ」と市立第二小・中学校のPTAコーラス出身者らが合流し、一九九六年に結成した。
 「お金をいただける歌を届けるために、本格的な指導を受けたい」と自分たちで指揮者を探し、声楽家として活躍し各地で合唱団を指揮する杉山さんに就任を依頼した。加齢に負けぬよう、練習前の自主練でスクワットなど体力づくりにも取り組んできた。
 歌うことを福祉の力に生かそうと、コンサートの収益を市内二カ所の知的障害者作業所に寄付するほか、作業所で作られた菓子などを販売する時に、売り子として手伝うなどの支援もしてきた。二〇一一年の東日本大震災以降は、寄付先を東北に変更。今年十一月のコンサートはチケットが完売し、四十三万円を仙台市の音楽団体に寄付した。
 団員二十二人のうち十四人が結成時から在籍する。新メンバーも迎えながら、みんなで年を重ねてきた。病気や手術を経験した人や、夫を亡くした人もいる。
 府川節子さん(75)は五月に頸椎(けいつい)を手術し、十一月のコンサート出演を諦めかけたが、仲間から楽曲のCDを送ってもらうなど、励まされながら舞台に立った。「完全な暗譜はできなかったけれど、みんなが応援してくれた。二年後も出演できたら」とほほ笑む。

 「練習に来てみんなに会い、歌うことが支えになっている」と代表の杉本策子さん(77)は話す。「コンサートの反省会で、高齢だからもうできないという人は一人もいなかった。まだまだやる気、前に進もう、と。みんな歌が大好きで、社会の役に立ちたいと思っている」。合唱団について問い合わせは杉本さん=電0467(24)2640=へ。

指揮者の杉山さん(後列左から2人目)と団員ら=いずれも鎌倉市で


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