冬場の気温上昇が原因? エジプトでオリーブの収穫量が5割以上減少

2021年12月31日 18時41分
 地中海に面するエジプトで2021年、オリーブの収穫量が前年と比べて5割以上減少したことが、エジプト農業省などの調査で分かった。前年の冬場に気温が上昇し、冷え込みが足りなかったことが原因とみられ、農家らは栽培方法の変更など対応に追われている。エジプトに限らず、地中海地域では近年、トルコで小麦の生産量が減少するなど温暖化で栽培される作物に変化が出ている。(カイロ・蜘手美鶴、写真も)

2021年12月初旬、カイロ近郊のフェファ農園で、枝に残ったオリーブの実を見せるムハンマド・アルタハウィさん

 カイロ近郊にある「フェファ農園」では21年の収穫量が前年比87%減の約400トンにとどまり、赤字額は1200万エジプトポンド(約8700万円)に上った。
 冬場の夜間の気温は例年、10~12度程度だったが、20年は17度を超え、オリーブの不作につながったとみられている。
 農場を管理するムハンマド・アルタハウィさん(64)は「今冬も気温が下がらなかったら、オリーブを育ててきた1年の努力が無駄になる」と不安を隠さない。
 エジプト北部アルベヘイラ県の「オレイヤバレー農園」でも21年の収穫量が前年比で90%近く減った。

2021年12月初旬、エジプト北部アルベヘイラ県のオレイヤバレー農園で、「できることは全てやる」と気候変動対策について話すアフマド・メンサウィさん

 同農園は地元の大学や政府機関と協力し、木の根を温めない肥料の開発や水の与え方、土壌改良や木の剪定せんてい方法などを研究し、気温上昇からオリーブの木を守る方法を模索。研究を進める中で、特定の化学物質を葉に散布すると樹木の温度が下がることが分かり、来季に備えて12月初旬に約12万本に吹き掛けたという。
 農園を管理するアフマド・メンサウィさん(39)は「できることは全てやる。将来的な気温上昇を見据え、どう対応していくかが重要だ」と話す。
 気候変動の専門家ら190人が作成した評価報告書「地中海盆地の気候と環境の変化現状と将来のリスク」によると、地中海地域の年間平均気温は19世紀後半と比べて1.5度上昇した。気温上昇に対応するため、報告書は「農作物の栽培方法を変える必要が出てくる」と指摘する。
 エジプト気象機関のアフマド・アブデルアエル元代表は「地中海地域の農業は今後、より気候変動の影響を受けることになる」と予測。特に北緯40度以南のエジプト、ギリシャ、イタリアなどは栽培する農作物の変更を余儀なくされる可能性があるといい、「気候変動は、より暴力的になっている。農業を続けるには、気温に順応していく必要がある」と訴えた。

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