<未来は変わる ちばのSDGs>千葉エコ・エネルギー ソーラーシェアリング 農業と太陽光を希望の芽に

2022年1月3日 07時15分

ソーラーシェアリング設備の下で話す千葉エコ・エネルギーの社員ら=いずれも千葉市緑区で

 畑や民家が並ぶ千葉市緑区大木戸町の一角に並ぶ約二千八百枚の太陽光パネル。その下には約一ヘクタールの農地が広がり、白菜、ジャガイモなどが葉を伸ばす。農業と太陽光発電を一カ所で実現する「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」の原点は、十一年前の東日本大震災だ。

◆管理しやすい

 「レタスやキャベツは日が当たると硬くなりがち。パネルを置くことで柔らかく育ちます」。設備の運営会社で、再生可能エネルギー事業のコンサルティングなどを行う「千葉エコ・エネルギー」(同市稲毛区)代表の馬上丈司さん(38)が説明する。設備は「千葉市大木戸アグリ・エナジー1号機」。東京電力に二百世帯分の電力を販売し、売り上げは年間二千万円を超える。育てた作物は市内の卸売業者や直売所に販売している。
 同社は、千葉大でエネルギー政策の講師をしていた馬上さんが学生とともに設立。二〇一一年の東京電力福島第一原発事故で多くの農家が風評被害などに苦しむ状況を見てエネルギーを原発に頼る現状にも限界を感じた。「今後は必ず再生可能エネルギーが中心になる」

事業について紹介する動画を撮影する馬上丈司代表(左から2人目)ら

 一三年、当時普及が進んでいたソーラーシェアリングを初めて見学し、「管理をしやすく、日本の豊かな農地も生かせる」と導入を決意。一六年四月に匝瑳市の耕作放棄地を再生して最初の設備を完成させた。これまでに県内の六カ所で設置している。
 事業拡大の背景にあるのは、気候変動への危機感だ。毎年のように発生する自然災害に「このままだと六十五歳まで生きるのも大変になる」。打開への鍵を握るのは若者と考え、大学生を対象に月に二回ほどイベントを開催。農作業を体験してもらい、ソーラーシェアリング設備を紹介する。「若者に農業や再生可能エネルギーに興味を持ってほしいし、もっと多くの若者がこの業界に入ってきてほしい」

◆若い社員多く

 現在、十九人いる社員のうち八割が二十〜三十代で、他業界から転職した若者も多い。昨年六月に入社した蔵田天馬さん(27)は都内の大手建設コンサルタント会社を退職して千葉市に移住した。「農業だけではなく、発電のコンサルもできることに魅力を感じ入社した。自分で野菜を育てるのは純粋に面白いし、以前よりも心穏やかに過ごせている」と話す。

「千葉エコ・エネルギー」が運営しているソーラーシェアリング設備(千葉エコ・エネルギー提供)

 広報担当の桝井孝一さん(25)は、大学時代にサークル活動などで動画を制作していた経験を生かし、事業の発信に動画サイト「ユーチューブ」を活用。ソーラーシェアリング設備の設置過程や農作業の様子などを撮影して編集し、これまで四十本以上の動画を投稿した。「もともと発電の知識がなかった自分が発信することで、一般の人目線で面白く、正しい情報が伝われば」と話す。
 同社は今年で設立十年の節目を迎える。馬上さんの目標は、全都道府県にソーラーシェアリングを設置すること。「ソーラーシェアリングは人類発展への希望。若者に関心を持ってもらい、農業の大規模経営化とソーラーシェアリング推進の両立を進めていきたい」 (鈴木みのり)
<ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)> 農地の上に支柱を立てて太陽光パネルを設置し、農業をしながら発電する手法。2012年、国が再生可能エネルギーを一定価格で電力会社などが買い取ることを義務付ける制度を始め、13年に条件付きで農地でのパネル設置を認めた。設置許可数は19年度末で全国2653件。千葉県は370件と全国で最も多い。

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