北京五輪あと1カ月 コロナ厳戒は「東京」以上 外交ボイコットにいら立ちも

2022年1月4日 06時00分

昨年12月23日、急ピッチで観客席などの整備が進む北京市延慶区の冬季五輪競技会場

 北京冬季五輪(2月4日〜20日)の開幕まで4日で1カ月。世界的に猛威をふるう新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」が中国国内でも確認され、中国政府は東京五輪以上の厳しい管理で乗り切ろうと懸命だ。米国が主導する政府関係者を派遣しない「外交ボイコット」にも神経をとがらせる。(北京・坪井千隼、写真も)

◆旧正月と重なる五輪期間 帰省自粛の呼びかけも

 「子どもがスキー好きなので、会場で競技を見せたい。でも、いつになったらチケット販売が始まるのか」。12月下旬、北京市中心部に設置された五輪のカウントダウン時計の前で、市内在住の張雪ちょうせつさん(40)は首をかしげた。
 国内在住者に限って認めた観客だが、まだチケットが販売されていない。厳格な隔離措置でコロナの感染拡大を抑えてきた中国だが、昨年12月には陝西省西安市で1000人以上の感染者が出ており、事実上のロックダウン(都市封鎖)に。広東省広州市では中国初となるオミクロン株の市中感染が確認されるなど、足元の感染拡大を受けて対応が遅れているようだ。

1日、北京市の繁華街にある北京冬季五輪カウントダウン時計の前を行き交う市民ら

 五輪の開催時期は、中国人が一家団らんで年越しする春節(旧正月、今年は2月1日)の連休に重なる。会場がある北京、張家口の両市政府は、帰省などを自粛し市内にとどまるよう呼び掛ける。山東省出身の男性会社員(35)は「2年も帰省しておらず、今回は親の顔を見たかったがあきらめた。自粛といっても勤務先が許可しないので事実上の強制だ」とため息をつく。

◆運用面で不安な「バブル」方式

 大会期間中は東京五輪でも行われた、選手や関係者と外部との接触を遮断する「バブル」方式をとる。ワクチン接種や毎日のPCR検査を原則義務付けるなど、管理の厳しさは東京五輪以上だが、運用面で不安も残る。
 関係者によると、11月下旬に行われたテスト大会では、選手の移動を制限するエリアの区分けが徹底されず、バブル外にいた人間と接触したケースがあったという。
 北京冬季五輪組織委員会の韓子栄かんしえい事務局長は、昨年12月の記者会見で「海外から来る選手らからは一定割合の陽性が出るだろう。感染対策は大きな試練だ」と危機感をあらわにした。

◆習氏続投控え、失敗は許されず

 米国は新疆しんきょうウイグル自治区の人権問題などを理由に、北京五輪に政府関係者を派遣しないと表明。英国や豪州、カナダなども同調し、中国外務省は「間違った行動の代償を払うことになる」と反発する。
 こうしたなか、日本政府は政府代表団の派遣をしない一方で、橋本聖子・東京五輪組織委員会長らが出席すると表明した。中国外務省は直接的な批判を避けたが、外交筋は「外交ボイコットの言葉を使わなかったことが大きい」と語る。
 中国共産党は今秋、習近平しゅうきんぺい総書記の続投を決める重要会議を控える。それだけに北京五輪の失敗は許されず、外交筋は「実際の大会運営に影響はなくても、人権問題を理由とした外交ボイコットは、習指導部のメンツを完全につぶすことになる。いら立ちは大きいはずだ」と話す。

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