小惑星の衝突から地球を守れ 9月に米探査機の体当たりで軌道を変える世界初の実験

2022年1月4日 12時00分

小惑星デディモス(右奥)の衛星ディモルフォスに今秋衝突するDART探査機のイメージ=NASAなど提供

 小惑星や彗星すいせいの衝突から地球を守る取り組み「プラネタリー・ディフェンス(地球防衛)」が今年から本格化する。米探査機DART(ダート)が9月、小惑星に体当たりして軌道をずらす世界初の実験をする。その後、2026年には欧州の探査機Hera(ヘラ)が、ダートの衝突でできたクレーターを観測する。ヘラには日本の小惑星探査機「はやぶさ2」の研究者たちも参加する。(増井のぞみ)
 ダートは米航空宇宙局(NASA)が昨年11月に打ち上げ、飛行を続けている。体当たりの目標は、地球と火星の間を公転する小惑星ディディモス(直径780メートル)の衛星ディモルフォス(同160メートル)だ。
 小惑星は約115万個見つかっているが、地球に衝突すると大変な影響を及ぼす可能性がある。約6600万年前の恐竜絶滅は、直径約10キロの小惑星が地球に落ち、舞い上がったちりで太陽の光が遮られて寒冷化したからだとされる。
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の吉川真准教授は「地球規模の被害を出す直径10キロ以上の小惑星はほぼ発見されており、近い将来落ちることはない」と話す。

ロシア・チェリャビンスク州に落下する隕石。ビデオ映像から取り出した=AP

 一方、直径1キロより小さい小惑星は続々と発見されている。13年、直径約20メートルの小惑星が大気圏に突入し、ロシア南部のチェリャビンスク州の上空で爆発。衝撃波で50キロ離れた街でも建物の窓ガラスが割れるなどして1500人超がけがをした。現地調査した吉川さんは「直径数十メートルでも地域的被害は大きい。早めに見つけて軌道をそらしたほうがいい」と指摘する。
 ダートは重さ550キロと小型車並み。秒速6・6キロでディモルフォスに激突する。衝撃でディモルフォスの軌道が変わり、ディディモスを周回する周期が変化するのが、地球から観測できると予想される。後続のヘラは24年に打ち上げ、はやぶさ2に使ったカメラの改良版を載せ、小惑星の性質や地形、衝突跡のクレーターを詳しく調べる。

はやぶさ2が小惑星りゅうぐうに開けた人工クレーター。半円形で直径15メートルと想定外の大きさだった=JAXA、東京大など提供

 はやぶさ2は19年、小惑星「りゅうぐう」に重さ2キロの金属弾を衝突させて人工クレーターをつくった。その研究責任者を務める荒川政彦・神戸大教授もヘラに参加する。「クレーターの状態と軌道のずれを合わせて調べることで、地球防衛に役立つ知識が得られる」と強調する。
 はやぶさ2は現在、地球と金星の間を航行中。26年に次の小惑星「2001 CC21」のそばを秒速5キロで通過し観測する。その航法システムを担当するJAXAの三桝みます裕也さんは「小惑星に正確に近づくことは、危険な小惑星に衝突して軌道を変える技術につながる」と語る。吉川さんは「小惑星の知識と技術を蓄積することで、未来の人類を救える可能性が高まる」と期待する。

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