「若者の声」だけで終わらせない 気候危機を訴える大学生・奥野華子さん

2022年1月5日 06時00分
<壁越えて>④

◆「若いのに素晴らしい」に違和感

 21世紀末まで80年足らず。最悪の場合、その間に世界の平均気温が産業革命前より5・7度も上がる。こんな温暖化の予測があるのに、政治や経済を動かす世代は、本気になってくれない。なぜだろう。
 「自分が生きている間は影響を受けないと思っているのでは。それで危機感を共有できないのかも」

気候変動問題を訴える活動をしてる奥野華子さん=東京都千代田区で

 奥野華子さん(20)が「温室効果ガス削減の目標を引き上げて」と仲間と政府に署名を提出したのは2020年末。計4万人分を集めた。コロナ禍にもめげない。会員制交流サイト(SNS)やオンラインイベントで温暖化対策の必要性を発信し続ける。
 でも、もどかしい。イベントやメディアでは「10代の声」を求められた。「若いのに意見を持っていて素晴らしい」「10代なのに頑張っているね」なんてほめられもする。だけど意見を政策に反映してくれたとか、自分たちの行動に参加してくれる大人がすごく増えたという実感は乏しい。
 「『10代』という枠組みにはめられていた感じ。日本では、若者の意見が対等にとらえてもらえない気がした」。昨年11月に20歳になったが、その思いは消えない。

◆世代の壁を越えて共有するには

 もっとも、気候変動問題に取り組むきっかけをくれたのは、50ほど年の離れた年配男性だった。
 17歳の夏。地元・広島で日米の高校生が平和について学ぶサマースクールに参加した。そこで平和運動家のスティーブン・リーパーさん(74)に誘われ、原爆死没者慰霊碑前で、気候変動対策を訴える座り込みに7日間続けて加わった。
 温暖化が進めば生態系が打撃を受け、食料危機や世界経済の不安定化につながり、平和が脅かされる懸念がある。「平和な世界を実現するには、核廃絶も気候危機の解決も、両方必要」と考え、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(19)に共感する若者グループ「Fridays For Future」の広島支部を設立した。
 「気候変動により、命を失うことがあってはならない」と活動を続けるうち、世代間でコミュニケーションツールが異なることにも気付いた。「それで自分たちの発信が届かないのかな」。祖父母世代の人が多く集まる集会に積極的に顔を出し、説明する。普段は発信に使わない郵便で、要望書を届けたりもした。
 うれしいこともあった。昨秋、登壇したオンラインイベントで、事前に中高年の参加者がビデオ会議システム「Zoom」の使い方を学んで参加してくれた。「自分たちの訴えを『若い人の声』で終わらせたくない。自分より下の世代のために、という気持ちは世代が違っても共有できると思う。連帯して行動する輪を広げたい」(奥野斐)

 おくの・かこ 2001年、広島県生まれ。都内の大学2年生。2019年に気候変動問題への対策を訴えるグループ「Fridays For Future(FFF)」の広島支部を設立。現在は「FFF Japan」で発信をしながら核廃絶運動にも取り組み、広島で平和記念公園のガイドを続けている。


おすすめ情報

気候変動の新着

記事一覧