<あしたの島 沖縄復帰50年>(4)平和を「自分ごと」に 神奈川学園高校のフィールドワーク

2022年1月5日 07時29分

沖縄戦について話し合う生徒たちを見守る木村教諭=横浜市神奈川区で

 横浜駅近くの神奈川学園高校(横浜市神奈川区)で昨年十二月上旬、一年生の生徒たちが沖縄をテーマとするフィールドワーク(FW)の事前学習に取り組んでいた。
 一九四五年の沖縄戦の経過や、戦禍で家族を失った現地の子どもたちのその後など、十項目から各自で選んだテーマに沿って文献や証言をリポートにまとめて発表。感想をタブレット端末で共有し合った。事前学習ではこのほか、沖縄戦体験者の講演なども通じ、平和への考えを深めていく。
 一年の坂巻裕香さん(16)は「今まではテレビなどの映像でしか知らなかったけど、自分たちで調べたり、当事者から実際に話を聞いたりすることで理解を深められる」と話す。FWを担当する木村孝徹教諭(47)は「今の社会と結び付けて問題意識を持てるように心掛けている」と話す。
 同校は二〇〇一年から、生徒の主体的な学習を促す狙いで、一年生によるFWを取り入れている。「自分ごと」として問題意識を持ち、事前学習を重ねて現場を訪ね、人に会う。行き先は沖縄を含めた国内五方面から各自で選択。例年、一学年約百九十人のうち五十人程度が沖縄を選ぶ。
 事前学習は、沖縄戦と在日米軍基地をテーマに一年を通して学ぶ。三泊四日の現地活動では、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のほか、負傷兵のための病院分室として使われた自然洞窟(ガマ)で、生徒らと同世代の「ひめゆり学徒隊」による看護活動が行われた「糸数アブチラガマ」(同県南城市)などの戦跡を訪ねる。語り部の講演、現地の地方紙「沖縄タイムス」でのワークショップなども体験する。

糸数アブチラガマを訪れ、沖縄戦について学ぶ生徒ら=2021年11月、沖縄県南城市で(神奈川学園提供)

 沖縄戦の終結から今年で七十七年。木村教諭は「ついこの間まで会えていた人に、会えなくなっていく」と歳月の重みをかみしめるが、現地での生きた学習は生徒一人一人の心に響く。
 「オスプレイの音を聞いて、今も戦争は続いていると感じた」。昨年十一月に訪ねた二年の高橋舞さん(17)はこう話す。現二年生は一年生の時、新型コロナウイルスの影響で現地活動に行けなかったが、感染拡大が落ち着いた同月、一年遅れで訪問し、学びをつないだ。「同じ年齢でも夢を持つことができない人がいたことを考えると、今の自分の環境は恵まれている。自分にできることに前向きに取り組まないといけない」と高橋さんは話す。
 木村教諭の印象に残るのは、〇七年に現地の読谷(よみたん)高校(同県読谷村)の生徒たちと交流した時のこと。生徒たちが「沖縄の地上戦を忘れないでほしい」と訴える姿に、「自分ごととして考えている」と意識の差を実感したという。「神奈川の生徒たちも、自分で学んだ戦争を語ることが必要。拙くても良い。学びを伝え合い、平和への思いを自然に深め合うことを大切にしたい」(丸山耀平)
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 沖縄の本土復帰から今年で五十年になる。米軍統治下にあった人々は、基地のない島と平和憲法のもとへの「復帰」を渇望したが、いまも「本土並み」の願いは実現していない。それでも、沖縄の声を地域でつなぎ、ともに未来を描こうとする人々がいる。京浜工業地帯がある川崎・横浜を中心に、沖縄にルーツをもつ人々とともに発展してきた神奈川の地から、わたしたちの「島」のあしたを考える。

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