元号懇候補 司馬遼太郎氏ら 昭和59年 政府が有識者21人選定

2019年8月18日 02時00分
 政府が、昭和天皇が亡くなる約四年半前の一九八四年六月、改元準備のため、先に明らかになった芥川賞作家の井上靖氏ら六人の新元号考案者候補のリスト化と同時に、新元号について意見を聞く有識者懇談会メンバー候補二十一人も選定していたことが十七日、国立公文書館が共同通信に開示した文書で分かった。いずれも直木賞作家の司馬遼太郎=写真、井伏鱒二、城山三郎各氏ら文化人が多数含まれていた。
 日本人初のノーベル化学賞受賞者の福井謙一京大名誉教授、ソニー創業者の井深大氏ら幅広い分野から人選しており、政府が早い段階から入念に準備を重ねていたことがうかがえる。
 元号に詳しい所功京都産業大名誉教授は「メンバー候補の中で文化人が多数を占めたのは、元号は政治的ではなく、文化的なものであるという当時の政府の意思が感じられる」と分析している。
 開示文書は「元号に関する懇談会の開催について」。最終的なメンバーは民間有識者ら三人程度、報道関係者二人の計五人程度にするとし、民間有識者らは「文化勲章受章者などわが国の文化を代表するにふさわしい者のうち、できるだけ特定分野に偏らないように選定する」とした。
 二十一人の候補のうち「文化勲章受章者」として登録されたのは十一人。新元号考案者としてリストアップされた井上氏は元号懇メンバー候補にも重ねて選ばれている。
 「婦人関係」として津田塾大元学長の藤田たき氏、日本初の女性大使としてデンマーク大使を務めた高橋展子氏の二人。「その他わが国文化の代表者」には作家の曽野綾子氏、第一次南極観測隊越冬隊長の西堀栄三郎氏らが並んだ。
 実際の元号懇は昭和天皇が亡くなった八九年一月に計八人で開かれた。八四年段階の候補の中からは、ともに文化勲章受章者の中村元、久保亮五両東大名誉教授の二人が当日のメンバーに選ばれた。
<元号に関する懇談会> 政府が新元号決定に先立ち、各界の有識者に候補名の原案を示して意見聴取する手続き。元号の決定権は時の政府にあるが、選定過程に「国民代表」を関与させる狙いがある。政府が1979年に策定した「元号選定手続き」にはなかったが、89年1月の「平成」改元直前に追加され、教育界やマスコミ界などから8人が出席。「令和」決定に先立つ今年4月1日の懇談会にはノーベル賞受賞者の山中伸弥京大教授や直木賞作家の林真理子氏ら9人が参加した。

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