五輪金・堀米雄斗を生んだ公園「スケボーにも使わせて」愛好会が陳情 都が来年度調査へ 五輪の「レガシー」活用模索

2022年1月7日 06時00分

東京五輪スケートボード金メダリストの堀米雄斗さんも親しんだ場所で話す種田智典さん=東京都江東区の都立大島小松川公園で

 東京五輪スケートボード金メダリスト堀米雄斗さん(22)ゆかりの都立大島小松川公園(江東、江戸川区)でスケボー利用を認めてもらおうと、愛好者らが管理者とのルール作りの話し合いを求めている。ほかの各地の公園でも「スケボーに使いたい」との声が都に寄せられており、都は来年度予算に調査費を計上し、都立公園で開放できるところがあるか検討する。(土門哲雄)

◆歩行者との接触、騒音などで現在は禁止

 江東区で生まれ育った堀米さんは昨年7月、金メダル獲得後の記者会見で、地元で一番好きな場所として、スケボーを始めた大島小松川公園を挙げていた。
 公園は広さ25万平方メートル。東京ドーム5個分で、野球場やサッカー場もある。だが現在、スケボーは禁止だ。公園内には旧中川が流れ、川沿いには遊歩道もある。公園を取り囲むようにマンションが立ち並ぶ。
 「近隣や他の利用者に迷惑をかけないよう、場所や時間を区切って利用できないか」。江戸川区の会社員で、スケボー愛好者の種田智典さん(43)は訴える。2020年に2度、公園管理者と話し合い、さらなる協議を求めて都議会に陳情し、昨年12月、「趣旨採択」の決定を得た。陳情仲間は11人で、堀米さんも名を連ねた。
 「子どもたちがスケボーをもっと気軽に楽しめるようになれば。ルールを守り、公園に自然な形で溶け込めるようになってほしい」と種田さん。競技の裾野拡大にもつながると語る。
 都建設局公園課の高橋正和課長は「近隣住人や他の利用者の意見を聞き、理解を得る必要がある。これまで騒音などの苦情があり、ベビーカーと接触するケースもあった」と慎重さをにじませるが、都として五輪の「レガシー」(遺産)につなげたい思いもある。

◆五輪きっかけに子供たちの人気も急上昇

 スケボー利用を求める声が上がっているのは、この公園だけではない。都は「五輪で人気が高まった」として、都立公園にスケボー広場を整備する想定で来年度予算に調査費を盛り込む方針。既に駒沢オリンピック公園(世田谷、目黒区)など一部の公園にはスケートパーク(スケボーなどが楽しめる運動施設)があり、ほかにも整備できるかどうか公園の規模や近隣の住宅との距離などを調べる。
 NPO法人「日本スケートパーク協会」の河崎覚代表理事は「スケボーはストリートで生まれ、(既存の価値観に異を唱える)カウンターカルチャーの面が強かったが、五輪が転換点になり、小さな子どもたちの人気も高まっている。民間施設も増えたが、まだまだ気軽に始められる場所は少ない」と指摘。
 公園での利用については「地域の人たちの目線が何よりも大事。スケボー利用者の思いも大切にしながら話し合いを進め、信頼関係を築いていく必要がある」と話す。

東京五輪の男子ストリート決勝で、金メダルを獲得した堀米雄斗演技(連続合成写真=右から左へ) =2021年7月25日、有明アーバンスポーツパークで

◆5つのメダル生んだ五輪会場、都が活用模索

 東京五輪の新競技スケートボードは日本勢が10代の選手を中心に3つの「金」を含む5つのメダルを獲得し、注目を集めた。
 舞台となった「有明アーバンスポーツパーク」(江東区)は大会組織委員会が都有地に整備した仮設会場で、大会後は更地にする予定だった。だが、都は「レガシー」としてスケートボードエリアの活用を検討している。
 ただ、施設は競技者向けで難易度が高く、今後都民が広く利用する場合は改修が必要。都五輪・パラリンピック準備局施設整備1課の松井真司課長は「どんな施設にするか、どうやって運営するか、並行して検討している」と話す。
 堀米さんの地元・江東区も昨年11月、夢の島総合運動場内に区立のスケボーパークを整備する方針を公表。初中級者向けの施設として、11月の利用開始を目指している。

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