神田のイチョウ並木がピンチ… 学生街のシンボル、道路整備で伐採計画 住民は「切らずに活用して」

2022年1月8日 06時00分

伐採が計画されるイチョウの前で、保存への思いを語る「神田錦町壱丁目町会」の藤井城会長

 東京都心の文教地区のシンボルとして親しまれている「神田警察通り」(千代田区)のイチョウ並木が危機を迎えている。道路を管理する区が自転車・歩道整備のため今月中旬にも伐採する方針を決めたためだ。区は8日、住民への説明会を開くが、愛着ある景観が失われることを惜しむ声は多く、紛糾が予想される。(井上靖史)

◆伐採は「円滑な通行のため」

 対象地は、一ツ橋―神田警察署前の交差点間254メートル。4車線ある一方通行の車道に、最高12メートルのイチョウが両側に計32本ある。
 区は、神田警察通りの車道を1車線減らし、歩道と自転車道を整備する工事を進めている。ここは2期工事部分にあたる。地元の神田錦町1丁目町会会長の藤井城さん(56)は「イチョウを保存しながら自転車道などを整備するものだと思っていた」と話す。2018年に整備を終えた1期工事の共立女子大前―一ツ橋交差点間の220メートルでは、区は32本のイチョウを保存している。
 区道路公園課の担当者は「1期の区間とは異なり、荷さばきなどに使う12台分の停車スペースを確保しなければならない」と説明する。1期の歩道と車道は計6メートルあったが、2期工事の停車スペースを設けると4.5メートルしかない部分がある。「円滑な通行を確保するために幹回りが110センチほどあるイチョウを伐採し、幹回りが18センチ以上のヨウコウザクラ39本に植え替える必要がある」と言う。

32本の伐採が計画されている神田警察通りのイチョウ。昨年12月も鮮やかに色づいていた(「守る会」撮影、提供)

◆有志が「守る会」結成

 現場は学士会館に近く、高校や大学が集まる。藤井さんは学生街のシンボルを切ってしまったら「オフィス街の大手町のようになってしまう」と言い、沿道住民と「神田警察通りの街路樹を守る会」を結成した。イチョウの樹齢について区道路公園課は「記録がなく定かでない」としているが「守る会」のメンバーで、地元で生まれ育った70代の主婦たちは「子どものころからあった」と口をそろえることから、藤井さんは、少なくとも半世紀は愛され続けてきたと推定する。
 藤井さんは「最近まで色づいていたイチョウは夜のライトに照らされても本当にきれいだった。既存の街路樹をなるべく切らずに活用していくのは時代の流れでもあると思う。そうした方向で区は進めてくれないのだろうか」と方針転換を期待する。
 住民説明会は8日午後6時、神田公園出張所で開かれる。

神田警察通りの整備工事 千代田区一ツ橋の共立女子大前から東へ1.4キロの東京メトロ・JR神田駅付近までの区道について4車線ある一方通行の車道を3車線とし、歩道と自転車専用道を設ける。沿道の街路樹はイチョウのほかにケヤキやプラタナスがある。工事は5期に分け、1期の共立女子大前―一ツ橋交差点の220メートルはイチョウを保存しながら2018年に完了。28年度までに全体を終える予定だが、3期以降は具体化していない。

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