映画「帆花」中野で上映中 医療的ケア児と家族の日常たどる 國友監督「いのち」考えるきっかけに

2022年1月8日 07時15分

映画「帆花」について語る國友監督=都内で

 生後すぐに「脳死に近い状態」と宣告され、人工呼吸器を使って生きる西村帆花(ほのか)さん(14)=さいたま市=と、両親ら家族の日常を記録したドキュメンタリー映画「帆花(ほのか)」が、中野区のポレポレ東中野で上映中だ。今作を「問いの映画」という國友勇吾監督(38)は「『いのち』や『生きること』について、あらためて考えるきっかけにしてもらえたら」と話す。(奥野斐)
 帆花さんは出産時にへその緒が切れ、脳に酸素がいかなくなったことで、在宅での日常生活で人工呼吸器の使用などが欠かせない「医療的ケア児」と呼ばれる状態だ。
 作品では寝たきりの帆花さんを連れて母の理佐さん、父の秀勝さんが外に出かけたり、絵本を読み聞かせたりする姿や、両親らによる医療的ケアが淡々と映し出される。何げないが、血を通わせる日々が続く。
 國友監督は十年ほど前、理佐さんの著書「長期脳死の愛娘とのバラ色在宅生活 ほのさんのいのちを知って」(エンターブレイン)を読んで家族の温かい姿に触れたという。理佐さんの講演会で企画書を手渡し、撮影が実現。帆花さんが三歳から小学校入学までの三年間をカメラで追った。編集に試行錯誤を重ね、約十年かけて完成させた。
 理佐さんは帆花さんについて「物言わぬ彼女の厳然たる存在感や力強さに目を奪われるたび、いのちとは、生きるとは、ただ『そこに在るということ』であり、そのかけがえのなさこそが『いのちの重み』であるということを教えられた」と映画のパンフレットにつづっている。
 撮影や編集を通じ、國友監督も帆花さんの存在の大きさを感じたという。「いのちは人と人の間に育まれていく。そこには私たちと地続きで家族の生活がある。親子の暮らしも感じてもらえたら」と語る。
 帆花さんは現在、中学生になった。母の理佐さんは本紙に「“ことば”を発しない帆花ですが、映画を通じて彼女の息遣いやまなざし、ぬくもり、存在、生そのものを感じてください」とコメントを寄せた。
 作品は七十二分。全国で順次公開される。詳細は映画の公式サイトへ。

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