<国会バリアフリー>ALS患者と歩く 議員活躍の道 これから

2019年7月29日 02時00分

介助者とともに参院本会議場を見学する酒井ひとみさん=26日、国会で(小平哲章撮影)

 重い身体障害がある船後靖彦氏(61)ら2人が参院選で当選し、8月1日召集の臨時国会に初登院する。船後氏と同じ難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」患者の酒井ひとみさん(40)=東京都江戸川区=と国会を歩き、重度障害者が国会で活躍するための課題を考えた。 (木谷孝洋)
 酒井さんは二〇〇七年にALSを発症。徐々に身体の機能が衰え、現在は眼球とまぶた、唇の一部しか動かせない。ヘルパー二人が付きっきりで、車いすでの移動やたんの吸引といった介助を行っている。
 酒井さんと記者は本会議場がある参院本館と常任委員会が開かれる分館、国会近くの議員会館を歩いた。
 移動の際に支障となったのが、廊下の切れ目にある数センチの段差だ。人工呼吸器をはじめ医療機器を積んだ車いすは重く、酒井さんは「(乗り越える際に)痛くはないが、少し衝撃を感じる」。国会内に敷かれた赤じゅうたんは毛足が長いため、ヘルパーの山下友希さん(19)は車いすの取り回しが難しいと思った。
 酒井さんが使う車いすは長さ約百三十センチ、幅約五十五センチ。国会内のエレベーターには収まったが、一部の狭いエレベーターでは足を乗せるフットレストを畳む作業が必要だった。
 参院では船後氏らの当選を受け、起立採決の際に介助者が挙手で代理表明するといった対応を決めた。船後氏が介助者を通さずに意思表示できるように分身ロボットの導入を求めていることについて、酒井さんは「(意思を)正確に伝えることができるので良いと思う」と賛同した。
 設備面の対応に加え、酒井さんが気にかけるのが本会議や委員会での質問時間だ。酒井さんは自分の考えを伝える際、唇のわずかな動きや、ヘルパーが文字を「あ、い、う」と読み上げるのに合わせて目を動かすことで文章をつくる。「最初に言うことが決まっていればいいが、もし突然発言することになれば十倍くらい時間がかかる」と質問時間を延ばすよう求めた。
 船後氏に国政で訴えてほしいことを尋ねると「安楽死(の議論)をやめてほしい」と答えた。船後氏ら二氏を擁立したれいわ新選組の山本太郎代表は「生産性で人間をはからせない世の中」の実現を訴える。酒井さんは山本氏の主張について「素晴らしい。(自分も政治に)少し興味が湧いてきた」と語った。

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