真・東京03探検隊 「土との対話が大切? 没頭できる陶芸のおもしろさとは?」(TNCA☆南青山スタジオ・後編)
お笑いトリオ“東京03”が、大人の好奇心を満たすディープな世界に飛び込む!
考古学、芸術、科学、サブカルなど、あらゆる分野に触れて見聞を広め、“デキる大人”としてのたしなみを磨きます!
失敗から、粘土の扱いを覚えていく隊員たち

中野さん
「安定感がなんといっても大事。両肘を太ももの上にしっかり乗せた構えで。手が安定していると、粘土も安定します」
右も左も分からない3人。最初は中野さんに指導いただきながら手順を覚えていきます。

中野さん
「真ん中に穴を開けて指をチョイと曲げ、両手の中を土で満たします。満たされましたね?」

角田隊員
「え? あ、はい…(笑)」

中野さん
「それをぐーっと上げていけば、同じ厚みに整います」

角田隊員
「おー、すごい! 結構回転の力が強いな! 拓さんのサポートなかったら、すぐにくずれちゃいそう」

中野さん
「それと粘土を触る際は、 手は“うさぎさん”で」

飯塚隊員
「うさぎ…さん?」

中野さん
「指の形のことです。よくみなさん、親指と人差し指をベタっと倒したキツネの形になりがちなのですが、それだと摩擦が大きいため力の加減が難しく、失敗の原因になりがちです。うさぎの横顔を見るようにして、器の厚みを整えていきましょう」

豊本隊員
「ろくろのスピードはどうすれば?」

中野さん
「回転というのは、内側より外側の方が速いため、大きい器を作るときはゆっくり回さないと速度が上がりすぎて作業ができない。逆に小さな器を作る際は、速く回すように意識しましょう」

豊本隊員
「なるほど。じゃあ今回でいえば、お茶碗は中くらいのスピードということか」

中野さん
「豊本さんいいですよ。あれ、豊本さん、息してますか?(笑)」

豊本隊員
「あ、すみません。息するのを忘れてました(笑)」

飯塚隊員
「いや、どんだけ集中してんだよ(笑)」

中野さん
「角田さん、だいぶ薄くしすぎちゃいましたね(笑)ここからお皿にするのは厳しい…」

角田隊員
「えー! もうお皿は無理ですか?」

中野さん
「ええ。なので小鉢にしちゃいましょう」

角田隊員
「えっ!!」

飯塚隊員
「ハハハッ!! フライドポテト用の皿を作るんじゃなかったの?食べれないじゃん(笑)」

中野さん
「でもいいじゃないですか。フライドポテトのお供のサラダを添えるのに使えますよ」

飯塚隊員
「あっ!! あー、終わった!!」

中野さん
「いやいや、花差しにすればいい。キレイな形のものはお店にいくらでも売っているので、今日は思うがままのものを作ってください」

角田隊員
「拓さん、すごいポジティブ(笑)」

飯塚隊員
「なにがダメだったんですかね?」

中野さん
「手がキツネの形になっていたのだと思います。粘土に対して力が入りすぎてしまった」

中野さん
「お世辞ではなく、みなさん上手ですよ。角田さんもあれだけ薄くできるっていうのは、指先の感覚がすぐれているということですから」

中野さん
「豊本さん、いいじゃないですかー」

飯塚隊員
「豊本が拓さんから一番褒められてるなー。いいなー」

角田隊員
「よーし、これなら大丈夫だろ!」

飯塚隊員
「いい感じじゃん! でも、まだ広げるの? 攻めるね~」

角田隊員
「焼くと2回りくらい小さくなるんでしょ? だからもっと大きくしたいのよ」
土と向き合い、土からのメッセージを感じ取る
この後はこちらの工房で厚みの調整や素焼き、本焼きなど残りの工程を進めてもらい、完成品が手元に届くまでは1ヶ月ほど。いやー、楽しみですねー。

飯塚隊員
「あーあー。なんであんな雑に置くかね(笑)」
器を粘土から切り離した後、台に置いたときにゆがんでしまったようです…。

角田隊員
「最後の最後に気抜いちゃった(笑)。でもこれでポテトがより取りやすくなったよね」

飯塚隊員
「いや、こんな形でなくても全然取れます(笑)」
最後は、色選びです。
陶器の色味を決めるのは、表面に塗られるガラス質の成分“釉薬”で、カラーバリエーションはさまざまです。

中野さん
「さきほども申し上げましたが、中に入った料理をイメージしながら選ぶといいですよ。角田さんのお皿は、ひび割れした箇所に金も加えましょうか」

豊本隊員
「え、じゃあむしろかっこよくなるじゃん(笑)」

角田隊員
「やったぜい!!」

飯塚隊員
「緑茶を入れるのに緑の湯吞みはどうですかね? 緑に緑もおもしろいかなと」

中野さん
「個性的でいいと思いますよ。色も形も、なんでも自由です」
飯塚隊員、とっても満足そうですね。

中野さん
「今日の体験は以上になりますが、いかがでしたか?」

飯塚隊員
「いやー、めちゃくちゃ楽しかったです。僕は初めてだったんですけど、こんなにひとつの作業に集中したのは、すごい久しぶりかも」

豊本隊員
「やっぱり陶芸は手先の器用さが大事なんですかね?」

中野さん
「もちろんそれもありますが、あとは土の意見を聞くということですね。“これ以上薄くなるとくずれてしまう”とか、“指が乾いてくると土にひっかかる”とか。土はいろいろメッセージを発信しているので、それに合わせて自分がふるまいを変えていくしかない。土は変われませんから」

飯塚隊員
「はーーー!! なんだか今の言葉すごい納得できた。じゃあ潰れちゃったりしたときは独りよがりだったってことなんですね。角田さんのお皿みたいに」

角田隊員
「やめろ!! あれは失敗ではなくて狙い通りなんだよ(笑)」

飯塚隊員
「いや、さっき気抜いちゃったって言ってたじゃん(笑)」

中野さん
「上手くいかなかったときは、自分の意見を押し付けていたということ。とはいえ、相手は土ですから、何を伝えようとしているか最初はさっぱり分からない。土としっかり向き合いながら陶器を作り続けていれば、段々と理解できるようになってくると思います」
とてもやさしく、丁寧に指導してくださった中野さん、そして工房のみなさん、ご協力ありがとうございました!
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