米が北短距離ミサイル容認 日本置き去り 現実味

2019年7月28日 02時00分
 【ワシントン=金杉貴雄】トランプ米大統領は二十六日、北朝鮮の短距離弾道ミサイルとみられる飛翔(ひしょう)体二発の発射について「短距離で、多くの国も保有している」と容認姿勢を示した。米朝首脳会談では金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が、中・長距離のミサイル発射のみ凍結を約束していたことも判明。米政権の姿勢は日本を射程に入れたミサイルの保有を認めることにつながりかねず、日本が置き去りとなる懸念が現実味を帯びている。
 記者団が発射について二十六日、「北朝鮮が警告だとしている。同盟国の日本と韓国にとっては『短距離』ではない」と指摘したのに対し、トランプ氏は「彼らは米国への警告とは言ってない。発射されたのも短距離で、とても標準的なものだ」と語った。
 前日にはポンペオ国務長官が米メディアに、六月の板門店(パンムンジョム)での首脳会談で、金氏が核実験とともに「中、長距離ミサイル発射の凍結継続」を約束したと明かし、今回も約束が守られていると評価。「短距離は容認」が事実上、両首脳で一致しているとの考えを示した。
 問題は短距離でも日本にとって安全保障上の脅威になることだ。
 「短距離」は一般的に射程千キロ未満を指すが、仮に千キロ弱なら中部地方や関東の一部まで射程に入る。発射実験を繰り返せば、迎撃困難な新型ミサイルが次々と開発される恐れもある。
 米朝交渉で米国は当初、核兵器とともに「あらゆる射程の弾道ミサイルの廃棄」を掲げ、日米政府間でも繰り返し確認してきた。
 だが、現在の米政権の姿勢は米本土やハワイなどに届く中・長距離の開発凍結さえ北朝鮮が約束すれば合意するのでは、との疑念を抱かせる。実際、米メディアは政権内で非核化交渉打開のため「完全な非核化」を迫るのでなく、核・ミサイル開発の「凍結」を優先する案が検討されていると報じている。

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