ふるさとへの貢献誓う16人…小3で福島第一原発事故 福島・大熊町で成人式
2022年1月9日 21時39分
東京電力福島第一原発がある福島県大熊町で9日、成人式が開かれた。2011年の原発事故時に小学3年だった新成人116人のうち、県内外の避難先などから16人が集まった。事故で避難後、約11年ぶりとなる再会もあった。「元気だった?」「久しぶり!」。会場には笑顔と歓声があふれた。(片山夏子)
◆「事故とコロナで生活は2度変わった」
式典では、いわき市に避難中の専門学校生、佐久間香那さん(20)があいさつ。以前避難した会津若松市の小学校で約50人の同級生が中学卒業までに8人に減ったことを挙げ、「事故とコロナ禍で生活は2度変わったが、地元で成人式ができるまでになった。今度は私たちが地域に貢献したい」と誓った。吉田淳町長は「町もできる限りのことをしたい」と話した。
大熊町は今春、帰還困難区域の一部で避難指示が解除されるが、政府は他の地域は帰還希望者の自宅周辺だけを除染する方針。会津若松市に避難する専門学校2年の伊東慧祐 さん(20)の自宅は避難指示が解除されるが、帰るかどうかは未定だ。震災時、町に約1万1500人がいたが、今は約360人。「時間はかかるが、若者らで活気ある町に戻ってほしい」と願う。
◆避難中だが「いずれ大熊で生活を」
いわき市に避難中の会社員、室原智泰さん(20)は「大熊で生まれ育ったという気持ちが強い。いずれ大熊で暮らしたい」と語る。いわき市の大学2年生、石田宗大さん(19)は江戸時代から続く自宅が有形文化財に指定された。「大熊の自宅を人が集まる場所にしたい。昔ながらの大熊を伝える活動をしたい」と目を輝かせた。
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