本会議場までエレベーター4回…衆院のバリアフリー化、やっと着手 参院はれいわ議員の当選で19年夏から整備

2022年1月11日 06時00分

自席に座れず、空きスペースに車いすを止めて衆院本会議に臨む大河原雅子さん(右)=昨年12月15日、国会で

 国会のバリアフリー化を巡り、参院では重い障害のある議員が当選した2019年から取り組みが進む一方、衆院では対応が遅れている。同時期に検討を求める声も上がったが、障害当事者がいなかったために実現しなかった。昨春に病気で車いす生活となった立憲民主党の大河原雅子さん(68)=比例東京ブロック=が昨年の衆院選で再選したことを受け、衆院ではようやく改修工事が始まった。(木谷孝洋)

◆車いす生活になって不便さ痛感

 東京都議会や衆参両院で計20年間、議員活動を続けてきた大河原さんは昨年3月、脳出血で倒れ、一命を取り留めたものの、今も左の手足がほぼ動かない状態。車いす生活で挑んだ昨秋の衆院選では、比例復活で再選したが「国会には階段が多く、議事堂に入る最初の段階から難関だった」と、選挙後に初登院した際の苦労を振り返る。
 国会裏の議員会館の自室から議事堂の本会議場へ行くには、階段しかない通路を避けて回り道し、エレベーターに4回も乗る必要がある。本会議場は車いすに対応していないため自席を使えない。大河原さんは空きスペースに車いすを止め、その脇に名札がない簡易な机を置いて審議に臨んでおり、「作業環境を整えてほしいし、自席の机上にある名札も自分で立てたい」と改善を訴える。

車いすで利用できる自席で参院本会議に臨む木村英子さん(左)と舩後靖彦さん(同3人目)=昨年12月21日

 参院では、車いすを使うれいわ新選組の木村英子さん(56)、舩後靖彦さん(64)が初当選した19年夏以降、約8億円を投じてバリアフリー化が進み、本会議場に大型の車いすのまま利用できる議席を設置。投票や演説を行う演壇につながるスロープも整備した。
 参院の規則も緩和され、介助人が議場内に入れるようになった。舩後さんは声を発せられないため、意思疎通できるパソコンの持ち込みも認められた。

◆車いすは「予測されないこと」?

 衆院でも19年、参院に合わせる形でバリアフリー化を求める声が与野党から出たが「予測されないことに予算を使うのは慎まなくてはいけない」(当時の自民党の森山裕国対委員長)として実現しなかった。衆院事務局は17日開会の通常国会に向け、車いすのまま利用できる本会議場の議席の準備を進めている。
 障害者インターナショナル(DPI)日本会議の事務局長で、自身も車いすを使う佐藤聡さん(54)は「国会のバリアフリー化は、傍聴などで訪れる市民にとっても意味がある。国会が変われば『障害がある人がいて当たり前なんだ』という社会へのメッセージになる」と話している。

 国会のバリアフリー 国会議事堂は1936年に完成。階段や段差が多いが、歴史的建造物として大規模な改修は難しい。車いすを使用する八代英太さん(84)が1977~2005年の間に衆参両院の議員を務め、多目的トイレやスロープの設置など一定のバリアフリー化は進んだ。

関連キーワード


おすすめ情報

政治の新着

記事一覧