できる!!定年後の貯蓄 コツコツ長生き 運用よりも、まずは節約

2022年1月12日 08時54分
 老後資金はたまっていますか−。定年を迎えても、目標の貯蓄額に達していない人は少なくない。「定年後にためるなんて無理」と諦めている人もいるだろうが、東京のファイナンシャルプランナー長尾義弘さん(64)=写真=は「長生きに向き合わねばならない時代。定年後でもコツコツためれば老後資金は何とかなる」と励ます。 (砂本紅年)
 「六十歳で貯蓄ゼロの人もいる」と長尾さん。晩婚化で住宅購入や教育費といった大きな支出が後ろ倒しになり、定年後も負担が続くケースもある。「そもそも給与が上がらず、貯蓄する余裕もない」。PGF生命が昨年還暦を迎えた二千人に聞いたところ、六十歳時点での貯蓄額(配偶者がいる場合は二人分)で最も多かった回答は百万円未満で、全体の25%を占めた。
 長尾さんは昨年出版した著書「運用はいっさい無し! 60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方」(徳間書店)で、住宅ローンの一括返済、自宅のリフォーム、オーロラ見学ツアーなどで退職金を使い果たし、貯金もなくなった事例を紹介。六十歳からの老後資金づくりに必要なのは「節約、長く働く、公的年金を増やす」が基本と説く。
 まずは節約。退職金を受け取り、一時的に懐が温かくなっても無駄遣いは厳禁だ。「世界一周などの夢を持つのはいいが、六十〜百歳の収支を予測したプラン表を作り、現状を把握してからでも遅くない」。老後資金がいくら必要かは、定年後の収支のバランスで決まる。赤字になる月が多ければ、余剰資金はないと考えた方がいい。
 金融商品の運用も慎重にしたい。退職金の振り込みがあると、銀行から一週間以内に勧誘の電話がかかってくることが多いというが、「手数料などで銀行側が得する商品も多い」と指摘。勧められるまま契約しないよう呼び掛ける。
 運用よりも、長く働いて収入を増やす方が確実だ。会社員は六十歳以降も厚生年金に加入しながら働くと、老齢厚生年金を増やすこともできる。自営業者も国民年金の任意加入や国民年金基金などで年金額を増やせる。
 ただ、会社の再雇用で割り振られた仕事を漫然と続けるのはつらい。やる気なく働けば、周囲の不満も募る。「五十代になったら、会社を離れて何ができるのか自分のキャリアを見直すことが大切」。定年前から、七十歳まで通用するスキルも磨いておきたい。
 さらに、年金の受給時期を遅らせる「繰り下げ受給」をすれば、年金額が増える。七十歳まで繰り下げれば42%アップ。今年四月からは最長七十五歳まで繰り下げできるようになり、最大で84%増額される。「運用と考えても有利」。途中でやめることもでき、基礎年金、厚生年金の両方またはいずれか一方だけの繰り下げを選ぶことも可能だ。
 六十歳からでも受け取れる「繰り上げ受給」は一度選ぶと変更できず、減額された年金を一生受け取り続けることになる。「どうせ長生きしないから」などと、安易に選ばないようにしよう。「繰り下げ受給は長生きに備える保険と考え、できるだけ選択肢として残したい」 

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