<わたしの転機>食養生の大切さ伝える 英語教師から薬膳料理研究家に 

2022年1月12日 08時56分

薬膳料理に使う食材を紹介する高木久代さん=三重県鈴鹿市で

 食事を通じて健康な体をつくる「薬膳」の普及に取り組む、鈴鹿医療科学大(三重県鈴鹿市)副学長の高木久代さん(69)。もともと英語の教師だったが、40代で薬膳に出合い、大学院で医学を学んだ。一般社団法人日本薬膳学会の代表理事も務め、日本人の味覚や体質に合った薬膳の在り方を発信し続けている。 (熊崎未奈)
 三重県四日市市出身です。大学卒業後の二十年間は、県内や神奈川県の高校、塾で英語を教えていました。四十代半ばから、父が創設した鈴鹿医療科学大で医療英語教育を担当することになりました。
 大学で教え始めた頃、父が医療機器を寄付していた縁で、中国・天津市を訪れる機会がありました。現地の人に「疲れがたまっている」と話したら、レストランに連れて行ってくれました。そこで初めて薬膳料理を食べて、元気になったんです。薬膳の効果を実感し、薬に頼らずに食事を通じて体調を整える「食養生」の大切さを知りました。
 その後、毎年、天津を訪れ、現地の専門家から薬膳を学ぶようになりました。日本での教育の必要性も感じ、十五年ほど前から大学の教員らと協力して、三重県内のホテルで薬膳の講座を開き始めました。二〇一三年には日本薬膳学会を立ち上げました。
 ただ、私は大学ではあくまでも英語の教師。薬膳をもっと正しく広く伝えるには、医学や栄養学の知識が必要だと思いました。そこで五十九歳の時、三重大大学院医学系研究科の博士課程に入学しました。
 糖尿病を専門とする教授の下で「食と糖尿病」をテーマに研究しました。日中は自分の大学で働き、夜な夜な大学院の勉強をするという生活で、博士論文の締め切り直前は徹夜しっぱなし。周りからは「七十歳までかかる」と言われましたが、四年で修了して医学博士を取得できました。
 薬膳は、長年培われた東洋医学の考えに基づきますが、科学的根拠のある栄養学の知識も生かすことが大切。例えば、トマトは栄養学的には抗酸化作用がありますが、東洋医学では「体を冷やす」食材。寒い冬には食べ過ぎないよう注意が必要です。東西医学の両方の視点を知っていると、より効果的なのです。
 薬膳料理は自分で実践できるのがいいところ。コロナ禍の今は、オンライン講座の配信にも取り組んでいます。季節や自分の体質、体調に合った食材を選ぶ薬膳をもっと広めて、おうちで健康的な生活をしてもらいたいと思っています。

◆情報ボード

 ◇健美薬膳オンラインセミナー 日本薬膳学会がウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」を使って開催。薬膳の基礎から応用までを学ぶ講座で、全国どこからでも受講できる。
 14日からは全5回の「基礎編II」を開講。初めて薬膳を学ぶ人向けで、東洋医学における体質の概念や分類、体質と食事の関係などを解説する。講師は鈴鹿医療科学大教授の高木久代さんと浦田繁さん。
 開催日程は14、28日、2月4、18日、3月18日後7〜7・30。パソコンやスマートフォンでZoomが使用でき、メール連絡が可能な人が対象。講義動画は当日以降も視聴できる。受講料1万円。19日までに同学会のホームページか、事務局のメール=yakuzen@suzuka-u.ac.jp=で申し込む。

関連キーワード


おすすめ情報

シニア・介護の新着

記事一覧