中国の習近平政権、カザフへの支援姿勢を鮮明に「 一帯一路」の要衝、欧米と一線

2022年1月12日 21時11分
 

カザフスタンのトカエフ大統領(AP)

【北京=中沢穣、モスクワ=小柳悠志】反政権デモが広がったカザフスタン情勢をめぐり、中国の習近平しゅうきんぺい政権は、デモを武力鎮圧したカザフのトカエフ政権と、軍事介入したロシアを支持する姿勢を明確にし始めた。デモ隊は「外部勢力が関与するテロ集団」とのカザフやロシアの見方に歩調を合わせ、武力鎮圧に懸念を示している欧米と明確に一線を画した。
 新華社によると、中国の王毅おうき国務委員兼外相は10日にカザフのトレウベルディ外相と電話協議し、「カザフの治安維持と暴力阻止(の努力)に、断固たる支持を表明する」と話した上で、「中国はできる限りの支援と協力を提供する」と踏み込んだ。さらに、来月の北京冬季五輪開会式にトカエフ大統領を招待した。
 また王氏は、米国を念頭に「今回の騒乱は、ある外部勢力がこの地域の安定を望んでいないことを証明した」とも述べた。両国が協力を拡大すべき分野として、「法執行と安全部門、(外国勢力による)干渉を防ぐための措置」を挙げた。
 両氏の協議は、習主席が7日にトカエフ氏へ武力鎮圧への支持を表明したのを受けて開催されたとみられる。ただ中国外務省の汪文斌おうぶんひん副報道局長は、6日の記者会見ではカザフ情勢について「内政問題」と述べ、カザフとの国交30年を祝う3日の習氏の祝電もデモや騒乱には触れず、この問題に距離をとっていた。
 習政権の方針に変化が生じたのは、ロシアなど旧ソ連6カ国でつくる軍事同盟「集団安全保障条約機構」(CSTO)が軍事介入を本格化させたタイミングと重なる。中国と隣接するカザフは、広域経済圏構想「一帯一路」の起点として重要な位置にあり、カザフへの影響力を確保する狙いがあるとみられる。
 またカザフは、少数民族問題を抱える新疆しんきょうウイグル自治区と隣接。習政権は、カザフ族が150万人を超える同自治区への飛び火を憂慮しているとみられる。11日には駐中国カザフ大使が中国メディアに「騒乱が国境を越えて中国に及ぶリスクはない」と訴えた。
 中ロは昨年9月、両国が主導する上海協力機構の枠組みで「対テロ」軍事演習をカザフ国境に近いロシア南部で実施。モスクワのアジア・アフリカ諸国大学のマスロフ学長は「カザフ騒乱を機に、中ロ間で治安維持対策がさらに大きな議題となる」と分析した。

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