<曇りのち晴れ>「なぜ」と問われ…

2022年1月13日 07時30分
 昨秋、久しぶりに酒場ののれんをくぐった。連れ立ったのは、取材で知り合ったさいたま市の谷中哲也さん(58)。自然に触れる場を子供たちにと、畑で野菜を収穫したり、その料理を楽しんだりする「畑こども食堂」を2年半前からボランティアで切り回す。
 聞けば、昨年3月に36年間勤めた電機メーカーを定年を待たずに辞めたという。情報通信エンジニアだったが、多忙を極めた40代に心筋梗塞で倒れ、機械相手の生き方に疑問を持った。脱サラして瀬戸内海で民宿を経営する友人にも刺激され、自然志向を強めたという。
 会社勤めの傍ら50代半ばで農業学校に学び、社会に役立ちたいとこども食堂の開設にこぎ着けた。今や食いぶちを稼ぐために「人と自然をつなぐ仕掛け」での起業を構想中。人生の転機を迎え、乗り越えようとしている同い年の男が語る夢は極上のさかなだった。
 谷中さんは言った。「あなたは『なぜ』それをするのかと問われ、明確に答えられますか」。人生の原動力とは何か。難しい宿題をもらった。 (大西隆、58歳)

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