【詳報】内村航平選手「自分は本当のチャンピオンか疑い続けて…」 引退会見で笑顔も

2022年1月14日 12時21分
現役引退について記者会見する内村航平=14日、東京都内のホテルで

現役引退について記者会見する内村航平=14日、東京都内のホテルで

◆「栄光も挫折も経験できた」

Q 五輪、ひと言でいうとどういうものか。2016年からの5年間は内村さんにとってどんな時間だったか。
A んー…まあ、僕にとってのオリンピックとは、んー…。やっぱり自分を証明できる場所だったかなと思いますね。
 世界選手権がオリンピックイヤー以外で毎年あって、世界チャンピオンになり続けて、果たして自分は本当のチャンピオンなのかっていうのを疑い続けて、オリンピックでしっかり証明するというのを2回もできたので、証明する舞台だったのかなと思います。
 リオオリンピック以降のここまでは、本当にいままで練習が思うようにいかないことがなかったのが、急に思うように行かなくなって。痛いところも気持ちでカバーできていたところが、カバーできなくなり、練習でどうにか痛めないような体をつくりあげていくところからやったりと、本当に練習を工夫して。

◆体操「世界中で自分が一番知っている」

 プロになって普及のことなど体操の価値を上げたいことなど、いろんなことを考えた中で、結果はリオオリンピックまでとは程遠い結果でしたけど、体操を突き詰めていくことを考えると一番濃い5年間だったかなと思いますね。
 リオまでの自分と今の自分だと体操の知識がかなり増えて、いま世界中のどんな選手、コーチよりも自分が一番知っているという自負があって。そのくらい、この5年間でいろんなことを研究して知ることができたし。
 やっぱり終わりが無いことも知れたので、今後、ずーっと勉強し続けることで、知識の幅も、もっともっと広がっていくし。こうして引退することで、それをいろんな人に伝えていけるので、そういう意味では、通らなければいけない道だったのかなと思っていますね。
 やっぱり、いいとこばかり知りすぎていたので、挫折とか、落ちたところからはい上がる力も知れたというのは、人に伝えていく立場として知らなければいけなかったことだと思うので、栄光も挫折も経験できたっていうのは、自分だけじゃなくて今後、体操でトップを目指す、金メダリストを目指す人たちに伝えていく立場からすると、本当に貴重な経験をさせていただいという気持ちが強い。

◆あの経験で「人間をちょっと超えれたんじゃないか」

Q  2011年の世界選手権で「今まで感じたことがないゾーン」と言ったが、今振り返って、なぜそのゾーンが生まれたと思うか。
 人生で一番、心技体が揃っていた時期なのかなと思っています。練習量もそうですし、練習の質もものすごく高かったし、メンタルもあの時が一番強かったかなと思うし、痛いところも全くなかったし。なんかこう、もう、自分は何をやってもできると思っていた時期だったので。
 でもやっぱ一番の要因は、世界で一番練習をしていたからだと思っていますね。
 あと、自分の演技、体操に対してものすごく自信を持っていたので。失敗する気がしないとかそういう次元ではなく、この場をどう楽しもうかっていう、もう強さとはかけ離れたというか、自分一人だけが楽しんでいるみたいな状況だったので、それが強かったのかなと思いますね。
 その後も、その翌年にロンドンオリンピックがあって、そこでそのゾーンを再現したいななんて思ってましたけど、ゾーンは再現できるものじゃないし、自分から狙ってやれるようなことじゃないんだなとそこで感じたので。あれを一回経験できただけでも、人間をちょっと超えれたんじゃないかと僕は思っています。
 ゾーンの話をすると3日くらい、寝ずに話し続けちゃうんで、ここでやめときます。
Q 体操界に、これを残せて良かったなと思っていることは。後輩たち、日本の体操界へ、こうなってもらいたい、提言のようなものは
 これを残せてよかったもの…。残したものって何なんでしょうね。結果以外に何かあんのかな。んー、でも結果を結果を残していくことで、その先にある、体操を超えた他の競技の選手たちにもリスペクトされるような存在になれたというのは、非常にうれしかったかなと。別にそれは残したものじゃないんで、なんかちょっと違うな。残したもの…僕が残したもの…んー。何残したんすか?逆に(笑)
 新しくプロというものをつくって、その道を作れたことも、もちろんそうですね。体操に、可能性はまだまだあるということを示せたということ。でも何を残したかっていうと、ほんとわかんないですね。結果は残したんだけど他に何を残したんだろうと思うと、あまりまだピンときていないというか。のはありますね。

◆人間性が大事「大谷翔平君も羽生結弦君も人として素晴らしい」

 後輩たちに。体操だけうまくてもだめだよということは伝えたいですね。やはり、人間性が伴っていないと。僕は若いときは競技だけ強ければいいと思ってやってきたんですけど、やっぱり結果を残していく中で、うーん、やっぱり人間性が伴ってないと誰からも尊敬されないし、発言に重みがないというか。
 僕はもう小っちゃいときからずっと、父親に体操選手である前に一人の人間としてちゃんとしてないとだめだというのを言われ続けて育てられたので。その意味がようやく分かったというか。
 大谷翔平君もそうですし、羽生結弦君も、人間としての考え方がすばらしいなって思うからこそ、国民の方々から支持されて、結果も伴ってますし。そういうアスリートがやっぱり本物なのかなと僕は思っているので、そういう高い人間性を持った一人の人間に、体操選手としてあってほしいっていうふうに、僕は思いますね。結果を残すのももちろん当然だと思っているので。
 もちろんいろいろあります、体操に関しては。美しさとか、着地の大切さとか、6種目やってこそ体操だっていうのとか。僕がさんざん示してきたことをそのまま受け継いでいってほしいというのはあるんですけど、やっぱり結果を残してきた身としては、人間性というところに重きを置いてやってほしいなということを伝えたいですね。
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