私が見た深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢。」(下)上から見る魚の物語 岸壁幼魚採集家・鈴木香里武(かりぶ)さん

2022年1月14日 13時39分
 金魚をテーマにした創作で知られる現代美術家・深堀隆介氏の個展「金魚鉢、地球鉢。」(東京新聞など主催)が、東京都台東区・上野の森美術館で31日まで開かれている。深堀作品の魅力や本展の感想について、3人の著名人に語ってもらった。

《方舟2》2015年

 泳ぐ魚を上から見ることはあるだろうか。横から観賞するようになったのはガラス水槽が発展してからの話。もともとは池や鉢を上から覗(のぞ)いていた。その頃の主役といえば鯉(こい)、そして金魚だった。金魚は上から見てこそ美しい姿なのだ。
 深堀氏の作品は上から見る芸術だ。岸壁幼魚採集家として漁港で魚を上から見続けてきた私は、まずそこに共鳴した。泳ぐ魚を見る文化を根づかせ、日本を水族館大国へと成長させた原点から今に至る物語を描いているように感じた。
 本展では随所に物語がちりばめられている。例えば金魚の一生を表現した大作「方舟(はこぶね)2」。描かれているのは稚魚から老いゆくまでの物語だ。幼魚に惚(ほ)れている私にとってはこれもたまらない。
 “金魚救い”を始まりとする作者自身の物語が作品たちに重なり、生き様が幾重ものレジン(樹脂)の層を成して描かれている。その厚みに心地よい錯覚を起こすことだろう。
 深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢。」は31日まで上野の森美術館で開催中。予約不要(混雑時は入場制限の場合あり)。最新情報は公式ホームページで。

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