楽観的な政府の経済予測、財政再建を遠ざける? 2025年度の黒字化目標維持に懸念の声

2022年1月15日 06時00分
経済財政諮問会議であいさつする岸田首相=14日

経済財政諮問会議であいさつする岸田首相=14日

 内閣府は14日の経済財政諮問会議で、財政の健全度を示す国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の中長期見通しを示した。黒字化を目指している2025年度の収支は、高成長を実現すると仮定した場合でも1兆7千億円の赤字との試算だが、岸田文雄首相は会議で25年度の達成について「変更が求められる状況にはないことが確認された」と述べ、維持する姿勢を示した。
 税収増加を受けて昨年7月の前回試算から赤字幅は縮小し、黒字の達成時期は1年前倒しして26年度と見込んだ。岸田首相は「新型コロナウイルスの危機を乗り越え、経済をしっかり立て直し、財政健全化に向けて取り組む」と強調した。
 ただ、試算の前提となる国内総生産(GDP)成長率は名目で3%、実質で2%程度。20年度までの20年間で名目で3%を超えたのは1回だけで、政府の試算通りに赤字縮小が進むかは見通せない。(共同)
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◆「政府としての意思も入っている」

 プライマリーバランスを2025年度に黒字にするという財政再建の目標を政府が維持したことは、楽観的な経済成長の試算に基づいている。オミクロン株が直近で急拡大していることが経済に打撃を与えかねず目標達成は困難だ。
 目標達成の前提となる試算は、政府の成長戦略が効果を発揮し高い成長を実現したと仮定したケースで、以前から甘すぎるとの批判があった。山際大志郎経済再生担当相は14日の会見で、「(成長に向けて取り組んで)どういう経済の姿になっていくかを試算することは政府の姿勢として自然で、それを素直に見せた。いろいろな意見はあると思うが、政府としての意思も入っている」と説明。客観的な試算でないことを半ば認めている。
 財政再建の目標を巡っては、菅政権が昨年6月にまとめた「骨太の方針」に、コロナ禍による財政への影響の検証を踏まえて「(本年度中に)目標年度を再確認する」と明記されていた。検証次第では目標年度が先延ばしとなる可能性があった。
 今回、岸田政権が目標を維持したことで財政再建に取り組む姿勢を示したようにも見えるが、野村総研の木内登英たかひで氏は「むしろ逆で、財政健全化は後退しかねない」と見る。「従来方針の維持は、追加で財政健全化のための政策を取らなくていいことになるからだ」と説明する。
 自民党内では、高市早苗政調会長をはじめ積極的な財政支出を求める声が大きくなっている。こうした動きも、目標達成を遠ざける可能性がある。(原田晋也)

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