国重文「表門」よみがえる 君津の神野寺 保存修理終了 2019年の台風15号で倒壊

2022年1月15日 07時05分

保存修理工事が終わり、重厚なかやぶき屋根がよみがえった神野寺の表門=いずれも君津市鹿野山で

 二〇一九年九月の台風15号で倒壊した君津市鹿野山の神野寺(じんやじ)の国重要文化財「表門」(高さ六・七メートル)の保存修理工事が終了し、重厚なかやぶき屋根が鮮やかによみがえった。(山田雄一郎)
 台風15号の強風で、表門は屋根のほか柱や梁(はり)などが破断・割裂し、柱を載せる礎石まで欠けてしまう被害が発生した。境内全体が被災し、スギの倒木が直撃した奥の院は現在も手つかずのままとなっている。

2019年9月の台風15号で倒壊した表門=君津市提供

 保存修理工事は二〇年一月十六日にスタート。文化財的価値を損なわないよう古材を生かした修理を心掛けた。倒壊した表門を屋根から骨組みまで職人の手で解体し、各部材の被害状況や墨書・痕跡を調査。その後、被災部材の修理・組み立て、基礎工事、屋根工事、補強工事を済ませた。礎石はもともと地元の房州石を使っていたが、現在は切り出されていないため、組成が近い石川県小松市産の滝ケ原石を代用した。
 工事の総予算額は約一億六千万円。約85%が国庫補助で、その他は県、市、民間の助成金などでまかなった。工事は昨年十二月三十一日に完了。今後は報告書の作成を急ぐ。
 神野寺の担当者は「表門は復興の象徴。通常は有料だが、今は無料で拝観できるのでぜひ足を運んでほしい」と願う。修理の完成を祝う落慶法要は四月ごろを予定している。
 市などによると、表門は道場や宿坊に出入りする、切り妻造りの四脚門。日本古来の「和様」に鎌倉時代、中国から伝わった「禅宗様」を取り入れた「折衷様」の建築物として知られる。室町時代の永正年間(一五〇四〜二一年)の建立とされ、寺の史料では表門が描かれた一六八六(貞享三)年の絵図が確認されている。
 一九一六(大正五)年に重文指定されたが、翌年の東京湾台風で倒壊し、部材の半分以上を取り換える大修理が行われた。六六(昭和四十一)年にもかやぶき屋根のふきかえ作業が行われたことが分かっている。

関連キーワード


おすすめ情報

千葉の新着

記事一覧