<食卓ものがたり>冬限定 甘めの保存食 はまなみそ(福井県嶺北地方)

2022年1月15日 07時26分

米五の直営店「みそ楽」で量り売りされるはまなみそ=福井市で

 福井市や大野市などの福井県嶺北地方では、秋の深まりとともに「はまなみそ」の張り紙を目にするようになる。冬の保存食、タンパク源として親しまれてきた、はまなみそを販売しているという目印だ。
 同県の認証基準によると蒸し煮した大豆や麦で、こうじ菌を培養したものに食塩水を加え、発酵させる。そうして出来上がった「もろみ」にナスなどを加えた食品を指す。砂糖などで甘めに味を調えるが、人によって、材料の構成や手順が少しずつ違う。もろみにナスやウリを加える「金山寺みそ」と同じ「なめみそ」の一種で、深い茶褐色をしている。
 諸説ある名前の由来の一つが「徳川家康が戦時食として生み出した『浜納豆』が元祖」というもの。家康から越前国(現在の同県北部)を与えられた息子の結城秀康によって広まったと伝えられる。
 昨年末、福井市にある老舗のみそ醸造会社「米五(こめご)」の工場には、出荷を待つ商品がずらりと並んでいた。同社は一シーズンで約十トンのはまなみそを製造する。県内のしょうゆメーカーから購入したしょうゆこうじと自社のみそ醸造用の米こうじを混ぜ、もろみを造るのが特徴だ。
 もろみは七月下旬から計四トンを仕込む。工場内にはもろみを収めた巨大な容器がいくつもあり、少しずつ取り出してはナスやシソの実、ごま、砂糖を混ぜる。プラスチック製のたるで約二週間なじませれば完成。直営の「みそ楽」や県内のスーパーなどで十月から販売する。
 時代が移り、冷蔵技術が進んでも、伝統の味を楽しめるのは冬だけ。「三月末までに売り切れるよう、調整しながら造っている」と会長の多田和博さん(64)は話す。はまなみそが店頭から消えるころ、この地には春が訪れる。
 文・写真 佐橋大

◆味わう

 熱々のご飯にのせてそのまま口に運ぶのが、定番の食べ方=写真(左)。米五のはまなみそは、甘みとこくのある独特の味わいで、程よい大きさのナスがアクセントだ。150グラム入り565円。インターネット通販でも買える(「米五 みそ」で検索)。
 調理に使ってもいい。大野市のホームページでは、アレンジ料理を紹介している(「大野市 はまなみそ」で検索)。はまなみそベースのたれに漬け込んで作る鶏胸肉のチャーシュー=同(右)=や焼きうどん、エビチリなどいろいろあり、食べ方に変化をつけたいときに重宝する。

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