ミャンマー巡りASEANの足並みに乱れ カンボジアは国軍接近、マレーシアなどは厳しい態度

2022年1月15日 20時37分
 【バンコク=岩崎健太朗】ミャンマーのクーデター後の混乱収拾を巡り、東南アジア諸国連合(ASEAN)が難しい対応を迫られている。議長国カンボジアが国軍に接近する動きを見せる一方、厳しい態度で臨むマレーシアやシンガポールは弾圧が収束しない情勢をあらためて批判、足並みの乱れが出ている。

ミャンマー北西部ザガインで今月上旬、フン・セン首相の訪問に抗議する市民ら=現地メディアのKhit Thit Media提供

 「面会できる保証がないからといって、訪問を拒否しても効果はない。分厚い壁に頭からぶつかっても無駄だ」。カンボジア外相で、ミャンマー問題のASEAN議長特使に指名されたプラク・ソコン氏は、フン・セン首相とミャンマー訪問から帰国した9日、「これまでと違うアプローチ」を強調。昨年の議長国ブルネイの第2外相が、アウンサンスーチー氏との面会が認められず訪問を中止、特使としての活動ができなかったことを暗に批判し、事態打開に自信を示した。

◆正常化急ぐ発言目立つフン・セン氏

 ASEANは、昨年4月の首脳会議で合意した暴力の即時停止や関係者間の対話など5項目に進展がないため、昨秋からミンアウンフライン総司令官らの出席を拒否。しかし、フン・セン氏は正常化を急ぎたい発言が目立ち、ただちにスーチー氏と面会を要請しないとの意向も伝えられる。
 今月の訪問中も東部カヤ州などへの大規模な空爆や砲撃が続いたが、フン・セン氏は国軍が少数民族武装勢力との停戦延長や、人道支援の受け入れを表明したことに「成果があった」と自賛。自身のフェイスブックに「停戦に反対する人は、死傷者が出ることを望んでいる。人道支援への反対は、薬や予防接種がなく飢え死にを望んでいることだ」と投稿した。これに対し民主派は「市民の抵抗や、医師らの不服従運動を否定している」と反発する。

◆識者「カンボジアがASEAN分裂の原因にも」

 ASEANは月内の外相会議で特使を正式承認する見通しだったが、延期された。マレーシアのサイフディン外相は13日にフン・セン氏の訪問に否定的な見解を表明。シンガポールのリー・シェンロン首相も14日のフン・セン氏とのテレビ会議で「5項目の合意は進展していない」とくぎを刺した。民主派の挙国一致政府(NUG)は「フン・セン氏はミャンマーの平和と民主化に結果を出さなければ、ただ操られたと見なされる」とけん制。カンボジア人政治学者のソファル・イア氏は「カンボジアがASEANを間違った方向に導き、分裂させる原因となる可能性がある」と米政府系放送局に語った。

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