<全文>岸田文雄首相、初の施政方針演説 「新型コロナに打ち克つことに全身全霊で取り組む」

2022年1月17日 15時54分

◆新型コロナ対応の基本的な考え方

岸田文雄首相

 オミクロン株による感染が拡大しています。
 国民の皆さんの、またか、いい加減にしてくれ、もう限界だという声を、私自身、聞いてきました。しかし、新型コロナという見えない敵は、想定以上に手強いことを、改めて認識しなければなりません。
 昨年、我が国は、ワクチン接種など、国民一丸となった取組により、デルタ株を何とか抑え込むことができました。そこに、すかさず、変異株が現れました。ウイルスの怖さを改めて感じます。
 ただし、新しい変異株の可能性は、専門家からも指摘されてきました。
 私自身、総理に就任した時から、デルタ株を超える強力な変異株が現れる、そうした最悪の事態を想定して、万全の体制を整えるべく、政府を挙げて、取り組んできました。
 先般の補正予算では、医療体制の拡充、ワクチン接種の推進や経口薬の確保、さらには、仕事や暮らしを 守り抜くための支援策を盛り込んでいます。
 もちろん、新型コロナには未知のことも多く、全てを見通した上で判断を行える訳ではありません。
 私としては、専門家の意見を伺いながら、過度に恐れることなく、最新の知見に基づく対応を、冷静に進める覚悟です。
 また、一度決めた方針でも、より良い方法があるのであれば、躊躇なく改め、柔軟に対応を進化させていく所存です。
 国民の皆さん、今一度、御協力いただき、共に、この国難を乗り越えていこうではありませんか。
 具体的な対応について申し上げます。

岸田文雄首相

 これまで政府は、G7で最も厳しい水準の水際対策により、海外からのオミクロン株流入を最小限に抑えてきました。 
 この対策により、3回目のワクチン接種の開始、無料検査の拡充、経口薬の確保、医療提供体制の充実など、国内感染の増加に備える時間を確保できました。
 当面の対応として、2月末まで、水際対策の骨格を維持します。
 その上で、今後は、国内対策に重点を置きます。少しずつ明らかになってきたオミクロン株の特性を踏まえ、メリハリをつけた対策を講じていきます。
 専門家から、オミクロン株について、感染力が高い一方、感染者の多くは軽症・無症状であり、重症化率は低い可能性が高い、高齢者等で急速に感染が拡がると、重症者が発生する割合が高くなるおそれがある、といった分析が報告されました。
 こうした報告も踏まえ、重症者や中等症の患者、あるいは、そのリスクが高い方々に、的確に医療を提供することに主眼を置いて、医療提供体制を強化します。
 私から各自治体に、自己点検を依頼し、医療提供体制の確保に万全を期すよう要請しました。
 即応病床数の確保は順調に進んでいます。
 また、今後重要となる在宅・宿泊療養に対応する地域の医療機関を、全国1.6万、「全体像」の計画を 更に3割上回る体制を準備できました。
 陽性と判断されれば、直ちに健康観察や訪問診療を実施するとともに、必要な方へのパルスオキシメーターの迅速なお届け、経口薬へのアクセスの確保を徹底します。
 稼働状況の「見える化」を強化し、これらをしっかりと動かしていきます。
 その上で、感染が想定を超えて急拡大し、重症者の絶対数の増加が生じた時に、病床がひっ迫するような緊急事態に陥ることは、何としても避けなければなりません。
 この観点から、先進諸国の取組を参考にしながら、入退院基準などについて、科学的知見の集約を急ぎ、対応を検討します。

岸田文雄首相

 予防・検査・早期治療の強化も重要です。
 ワクチンについては、医療関係者、高齢者3100万人を対象とする3回目接種の前倒しについて、ペースアップさせます。
 3月以降は、追加確保した1800万人分のワクチンを活用し、高齢者の接種を6か月間隔で行うとともに、5500万人の一般向け接種も、少なくとも7か月、余力のある自治体では6か月で接種を行います。
 国としても、自衛隊による大規模接種会場を設置し、自治体の取組を後押しします。
 感染拡大が懸念される地域において、予約なしでの無料検査を拡充します。
 メルク社の経口薬160万人分について、既に全国2万2000の医療機関・薬局が登録し、医療現場に、3万人分をお届けしています。
 作用の仕組みが異なるファイザー社の経口薬についても、月内に200万人分の購入に最終合意し、来月できるだけ早くの実用化を目指します。
 オミクロン株は、お子さんの感染も多く見られます。これまでワクチンの接種対象ではなかった12歳未満の子どもについても、希望者ができるだけ早く、ワクチン接種を受けられるよう、手続を進めます。
 保健所について、体制の強化、科学的根拠に基づく業務の合理化、保健所に頼らない地域の重層的ネットワークの整備を進め、必要な即応体制を確保します。
 感染を抑えるためだけでなく、BCP計画遂行、社会活動維持のために、テレワークを積極的に活用していただくようお願いいたします。
 学校においても、休校時のオンライン授業の準備を進めます。入試については、追試などにより受験機会を確保するとともに、4月以降の入学を可とするなど、柔軟な対応を要請します。
 米国は、必要不可欠な場合以外の外出を認めない、夜間の外出を禁止するなど、在日米軍の感染拡大防止措置を発表しました。在日米軍の駐留に関わる保健・衛生上の課題に関し、地位協定に基づく日米合同委員会において、しっかり議論していきます。
 息の長い感染症対応体制の強化策として、まずは、安全性の確認を前提に、迅速に薬事承認を行う仕組みを創設します。
 さらに、これまでの対応を客観的に評価し、次の感染症危機に備えて、本年6月を目途に、危機に迅速・ 的確に対応するための司令塔機能の強化や、感染症法の在り方、保健医療体制の確保など、中長期的観点から必要な対応を取りまとめます。

記者のワンポイント解説 首相はワクチン接種のペースアップについて▽高齢者の接種を6か月間隔で行う▽一般向け接種も、余力のある自治体では6か月で行う▽12歳未満の子どもについても希望者が受けられるようにするーなどをアピールしています。ただ、いずれも既に明らかにされている内容で真新しさには欠けます。ワクチンの追加接種を巡っては昨年末から「2回目接種以降8カ月」からの前倒しを余儀なくされてきました。想定を上回る感染拡大のペースに供給が本当に追いつくかどうか、懸念は消えません。
 在日米軍基地で感染者が続出し、全国の感染拡大の一因となっている問題では、日本の検疫や行動制限などが及ばない日米地位協定の「壁」が改めて立ちはだかりました。首相は「在日米軍の駐留に関わる保健・衛生上の課題に関し、地位協定に基づく日米合同委員会において、しっかり議論する」と指摘しただけで、地位協定の抜本見直しを求める自治体にとっては「ゼロ回答」に等しい内容でした。

▶3ページ目 新しい資本主義の実現へ続く

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