<全文>岸田文雄首相、初の施政方針演説 「新型コロナに打ち克つことに全身全霊で取り組む」
施政方針演説 毎年1月に召集される通常国会(会期150日間)の冒頭に、首相が1年間の内閣全体の方針を示す演説。補正予算などを審議するために開かれる臨時国会や、衆院選後に召集される特別国会、会期中に首相が交代した時に行われる演説は「所信表明演説」と呼ばれ、首相が自らの政治姿勢や国政の重要課題などを説明する。ただ2つの演説に法的な区別があるわけではなく、あくまでも慣例的に使い分けている。
◆コロナ後の新しい日本を創り上げるための挑戦

岸田文雄首相
今、我が国は、オミクロン株の感染急拡大に直面しています。
まず、新型コロナに感染し、苦しんでおられる方々にお見舞いを申し上げます。
また、長期にわたり、新型コロナとの闘いに御協力いただいている国民の皆さんに、心から感謝申し上げます。
そして、新型コロナ対応の最前線におられる、自治体、医療機関、介護施設、検疫所、保健所などのエッセンシャルワーカーの皆さんに、深く、感謝申し上げます。
岸田政権の最優先課題は、新型コロナ対応です。しかし、政府だけで対応できるものではありません。
国民皆で助け合い、この状況を乗り越えていきたいと思います。引き続き、皆さんの御協力を、お願いいたします。

岸田文雄首相
内閣総理大臣に就任してから、国内外の山積する課題に、スピード感を持って、決断を下し、対応してきました。
「
それぞれの決断の責任は、自分が全て負う覚悟で取り組んでまいりました。
その際、皆さんの声に丁寧に耳を澄まし、状況が変化する中で、国民にとってより良い方策になるよう、粘り強く対応し、判断の背景をしっかり説明する努力をしてきました。
このように、「信頼と共感」の政治姿勢を堅持しつつ、まずは、新型コロナに打ち克つことに全身全霊で取り組んでまいります。
新型コロナという困難に直面しているからこそ、立ちすくむのではなく、皆で協力しながら、挑戦し、コロナ後の新しい日本を創り上げていこうではありませんか。
記者のワンポイント解説 岸田首相は冒頭で、新型コロナ対応を政権の最優先課題と明示しました。「行蔵は我に存す」は、江戸時代末期に幕臣として江戸城無血開城を実現した勝海舟が福沢諭吉に宛てた手紙の一節から引用されたようです。「行蔵」は出処進退を表し、自分の行動の責任は自分で負うという趣旨。旧幕臣なのに明治政府の要職に就いていたため、福沢から批判された際、勝はこう返したとされます。
歴代首相は、故事や尊敬する偉人の言葉などを用いて演説を締めるケースが多いですが、岸田首相は冒頭に持ってきました。「皆さんの声に丁寧に耳を澄まし」と、国民に直接、自らの「聞く力」をアピールしています。